4 le:mis.fira:r so+bilzo.(レーミス、扉を開けろっ)

 ca:ri?(声?)


 彼女には聞こえていないようだ。

 一体、だとすれば今のはなんなのだ。

 直感的に、モルグズは理解した。

 molgimagzだ。

 魔剣そのものが、モルグズを呼んでいるのだ。

 ではこの魔剣には、意志でもあるというのだろうか。

 ぞっとしないが、いつまでもここで突っ立っていても仕方がない。


 le:mis.fira:r so+bilzo.(レーミス、扉を開けろっ)


 farsa:r! dagla:g!(急いで! dagla:gが!)


 dagla:gの説明は受けていた。

 魔術師たちのなかには、異界から怪物を召喚する者もいるらしい。

 そうした怪物がdagla:gと呼ばれる。

 ただしこの怪物はyuridbemに出現する本質的には魔術的な存在のため、物質界での形を与えることが必要になるというのだ。

 そのためにdagla:gの種類により、彼らが好む物質的な材料を魔術師は用意することになる。

 この召喚触媒に憑依したdagla:gの姿は、きわめて多様だという。

 生物や無機物などさまざまがものが拡大、変形、合成されるのだからそれも当然だ。

 まさに怪物、という呼称がふさわしい。

 彼らは本質的に魔術的な存在のため、食事なども必要ないので、ある種の「守護者」としてよく使われるのだという。

 ゆっくりと、まるで扉そのものが開くことを拒絶するようでありながらも、勝手に開いていく。

 羊皮紙の呪符がはじけ飛び、やがて部屋の様子が見えた気と思った途端、いきなり恐ろしい速度で動くなにかが、スファーナの足めがけて襲い掛かってきた。

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