第2話 秘密2

「まって。」

そう言って私の手首を掴んだ。

「か、会長??」

私が立っているのは窓側。

手首を掴んだまま、私の方へと歩み寄って来る会長。

「ごめんね、君みたいな子を見るとさどうしても…汚したくなっちゃうんだ。」

耳元でそう囁いた。

「ひぁ……っ!」

掴んだ方の手首のブレザーの袖を、肘まで捲し上げて、

「これ、いつから?」

リスカの跡を指さした。

「あのっ、」

いくら力を入れても所詮男と女。

私は、自分の能力で相棒でもある水竜を出した。

「離してください!」

「おっと、初めてかな…君の能力を見るのは。」

そう言って私の手を離して距離をとった。

「なら俺も本気出しちゃおうかな。」

会長の能力は、炎。

水竜の私とは相性が悪い。

しかも炎は所詮火…水属性の私には負ける。

「なーんて考えてるでしょ?」

「なっ!!」

ボウっと音を立て、紐のように水竜に巻きついた。

「俺はこの学校のトップだよ、水だってなんだって全部俺の支配下にある。」

そう言って、再び私に近づく。

私の脳では、困惑、恐怖色々な感情が混ざり合い、私は腰を抜かしてしまった。

「おっと、大丈夫かい?」

私は口を開くことさえできなかった。

いや、会長の催眠術により許されなかった。

「俺の手を取って?」

意志とは関係なく身体が動いてしまう。

「大丈夫、何もしないさ。」

腰に手を回され引っ張られた事によって、自然と会長に抱きつくような体制になってしまった。

「ただし、あくまで今は……ね?」

ニヤリと小悪魔のように笑う彼に、私は不覚にもドキッとしてしまった。


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愛と痛みと仮面と私 黒猫人形 @KuronekoNingyou

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