第1話 秘密1
六月某日
私、朝霧陽菜は生徒会として放課後仕事をしていた。
「あの、この資料ってここでいいですか?」
「うん、ごめんね……仕事手伝わせちゃって。」
私の質問に答えたのは、生徒会長である瀬名礼音先輩。容姿、成績、運動神経、性格すべてが完璧で、男女関係なく人気な人だ。
「いいえ!私で良ければいつでも手伝います!」
「さすが副会長、って言いたいところだけど………。」
スっと私の顔に手を添えて、親指で私の涙袋をなぞった。
「クマ出来てるよ、ちゃんと休まなくちゃダメだよ?」
優しい声で、心配そうな顔で私に言った。
「はい、頑張ります。」
「休むことは頑張ることじゃないでしょー。」
笑いながら私に答えた。
「さてと、とりあえず今日はここまでにしておこうか、外も暗くなってきたし。」
「そうですね。」
ガラッと勢いよく開けられた生徒会室のドア
が開かれた。
「失礼します、提出する書類持ってきました。」
そう言って入ってきたのは幼馴染の笹野龍、
「と、その付き添いでーす。」
その彼女である朝比奈みくるだった。
「陽菜、お前教室に弁当忘れていってただろ。」
「あ、ごめん、ありがと。」
私は、龍が好きだった。
いや、今もなお好きだ。
「あれ?この書類って各部の部長に頼んだんだけど…。」
「今日部長が風邪で休んでいるみたいで、代理です。」
「そっか、じゃあ確かに受け取ったよ。」
無意識の内に、私は下を向いていた。
会長は、私に気づいたらしく
「ほらほら、君たち確かサッカー部だよね??」
「はい、そうですが…。」
「コーチが探してるよ??」
「いっけね、みくる早く行くぞ。」
「はーい、失礼しました。」
そう言って乱暴に閉められたドアによって、生徒会室は静寂に包まれた。
「では、私も帰りますね。」
「まって。」
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