第16話

よくよくギルドのリストをみると、件数が100は有に超えていた。

これは普通にやったら依頼とクリア数が合わないために延々と増え続ける。

効率的にこなすには少し考えなければならない。


「直也、リストを地域別で分けられるか?かなり細分化してほしい。」

「種類ではなく地域ですね、わかりました。ENEMYの生息域はどう『選択』しますか?」

「出現率が60%超えたところを生息域と『選択』しといて。ホントは80%ぐらいがベストだけど」

了解しましたという言葉と共に直也の目の色が変わる。情報支援モードに入ったようだ。

コマンドウインドウに羅列される文字が整理されていく。討伐対象の生息域と納品する採取品の群生位置の一致。これが同じであれば同時進行が可能だ。わざわざ戻って出直すほどでもない。

直也の情報整理が出来たのか、リストとマップのリンクされた物がコマンドウインドウに表示される。実質出向く回数はだいぶ減りそうだ。

「最短47回の行き来で完了となります。ただし依頼が増えなければ、の話となりますが」

「もしもを考えたらきりが無い。最短でこなすぞ。…っと、その中でEVENT扱いのはどんだけ?」

「9つです。EVENT以外となると最短38回となります」

EVENTとは、行き来だけですまない要は滅茶苦茶時間のかかる依頼だ。数日、数カ月かかる可能性もある。

そういった依頼をこなす事こそ面白いわけだが、やはり頼られている分はしっかりこなしてからじっくり取り組みたい。


頼られている実感は、『現実』では得られなかった。

だからこそ、この世界では実感を得られるように動きたい。誰かの為なんて言わない。自分のためだ。


頬をパシンッと叩く。

小気味の良い乾いた音がなり、少し気合が入る。


「まずは最短50回目指して行くとするか。ギルドリストが増えないよう手配はよろしく」


片っ端から受注中のマークをつけて、コマンドウインドウを閉じる。

直也がギルドと話を付けている間、まずは一番マーカーが多い方角を向こうとするが、膨大な数のマーカーが乱立している。ぼんやり「こちらラグ・クラウドの浄和でーす。こちらには今約一万人の観衆が集まっていまーす…」と口から漏れてしまった。まずい。一つ一つ表示されたのは面白かったが、如何せん非効率だ。マーカーの重み付けを『選択』する。量に応じて色を分けることで効率化を目指す。ただ、事前にエリアを区切らなければならない。今回は一応東西南北でのみ区切った。歩を進めればもう少し細分化しなければならないだろう。


直也が自分のもとに戻ってきたタイミングで歩み始める。


まずは西を目指すーーー。

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選択は恐怖だ。だが、進まねばならない。 堕神 @ragu_kuraudo

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