第15話
雷が落ちる寸前に時灘のタイムストップを解除。染闇が動き出す前に落雷、高電流が染闇一つ一つに流れ、その全てが一瞬にして蒸発していく。
目を瞑っていても眩しいほどの閃光が止むと、目の前にあった染闇の全てが消失していた。
「すげー…」
予想外の高出力に自分でも驚く。電気の場合近くにいただけでも危険のはずだが、うまく空間を切り離して感電させられたらしい。
残ったのはキレイな空と草木と直也と不貞腐れた時灘と座り込んだままの流光。
座り込んだままの流光………?
「あ、え、あー…悪いっ!」
初っ端から力を強引に行使したために身動きの取れなくなっていた流光に手を差し伸べ立ち上がらせる。立ち上がらせてからもう一度手を合わせ謝ると、砂埃のついた服を払いつつこちらに顔を向けた。
「………………良い。呼応したのはオレだからな…。だが、これは女連中にやったら粉砕される案件だぞ」
「許してくれんの?良かったわー」
流光が人の良さそうなカミサマで助かった。朔サマに同じ事をやったら流光の言うように粉砕されてやばい事になった。
これで流光もバイパス形成完了し、いつでも力の行使が可能となった。
流光には謝罪と今後もよろしく、と挨拶をしてお帰りいただいた。帰ってないのはグッレグレの時灘。
「まだいたんだと言っときながら都合よく呼んで、俺を軽んじてないか遊悟は」
地面にのの字が山のように錬成されている。いじけ具合が極まってるよ、コイツ。
直也に目を向けると自分にはどうにもできません、と言わんばかりに目を伏せられた。そりゃバイパス形成しているのは自分なので自分がどうにかしないといけないのはわかっている。
グレグレの時灘の頭をぽんぽんと軽く叩きその後撫でてやる。
「助かった。また、よろしくな?」
笑んでそう言ってやると、損ねていたご機嫌が良くなったのか「必要ならば呼べ」と言って姿を消した。
残るは自分と直也と、乱立する赤い三角アイコンの群れ。
「…全部にマーカーってどんだけ酷い状態だよ」
ネノハナ全てが対象故に、ネノハナ全てに三角アイコンがついている。ネノハナ畑というよりはアイコン畑になっている。
「…採るか」
取り敢えずマーカーを消すために依頼指定量を摘み始めるのだった。
指定量を採ってもこちらが『選択』しなければ無数に散らばるマーカーは消えないようなのでコマンドウインドウからマーカー消去を『選択』。ようやく視界が煩くなくなった。
後は街に帰るまでが仕事。
直也にネノハナを持たせ、来た道を戻ることにする。マップ上では染闇も消え、何事もなく戻れそうなので足早に街に向かうことにした。
まだまだギルドのコマンドリストは減っていない。
こういう依頼は一度まっさらにしておきたい性分なので、これから忙しくなりそうだ。
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