9歳
・
「今日は転校生を紹介します、皆仲良くしてあげてね!」
「となりのまちからひっこしてきたみさきです、よろしくおねがいします」
ぱちぱちぱち…
「みさきちゃんよろしくね!」
「みさきちゃんまえのがっこうはどうだった?」
「いまからかくれんぼするからいっしょにあそぼー!」
ざわざわ…
憧れの転校生。転校生は何もしなくても人気者になれる。私も引っ越したい、人気者になりたい…
・
「みさきちゃん、わたし、ひかるっていうの、よろしくね」
「ひかるちゃん、よろしくね」
「せんせいがおうちがちかいからいっしょにかえってあげてって言ってた!いっしょにかえろう!」
「ありがとう、ひかるちゃん!」
転校生と仲良くすると優越感に浸ることが出来た。自分までもが人気者の気分になれるのだ。
この日から美咲とひかるは毎日一緒に帰り、毎日のように近所の公園で遊んだ。他愛もない話をして毎日を過ごした。
美咲は美人で、小学生ながら胸が大きかった。そして、裕福な家庭で愛を沢山受けながら育っていた。そのため、美咲にはたくさんの男が寄ってきた。
いつものように近所の公園で遊んでいる時…
「おい、さとし、いってこいよ!」
「なんでだよ!おまえがいけよ!」
公園の外で二人の男子がこちらを見ながら揉めている。
どうやらクラスメイトのさとしが美咲に好意を持っているようだ。
さとしの背中を押しているのはクラスメイトのまさとだ。
この二人は私のクラスの女子だけで行われている[イケメン男子ランキング]のトップ争いをしている二人だ。
私はかわいくて人気者の美咲に嫉妬した。何もしていないのに美咲にはいい男が寄ってくる。
「さとしくん、まさとくん、一緒に遊ぶ?」
私は二人にそう声をかけた。
イケメン二人と美女一人、そして私。
この日からこの4人で一緒に帰り近所の公園で遊ぶことが増えていった。
・
「なあ、ひかる」
いつもの帰り道、少し前を歩くさとしと美咲を見ながらぼーっと歩いていると、まさとが声をかけてきた。
「もう少しでクリスマスだろ?さとしがなにかプレゼントしたいって言ってるんだけど、みさきの好きそうなもの知らないか?」
「さあ、どうだろう、こんどのにちようびにとなりまちにおかいものに行くからよかったらいっしょにくる?このみがわかるかもよ」
私には羨ましすぎる展開だった。望んでいるものは全て美咲が持っている…美咲になりたい、何度思ったことだろう。
「ねえみさきちゃん、こんどのにちようび、さとしくんとまさとくんもいっしょにいってもいいかなあ?たくさんいるほうがたのしいし!ね?」
「そうだね!じゃあ4にんであそびにいこう!」
「おっけー!えきにしゅうごうな!」
「ひかるちゃん、今日はうちによって行かない?ちょっとそうだんしたいことがあるんだ。」
「わかったよ、じゃあ男子たちはここで!また明日ね!」
「じゃあな、また明日!」
「ばいばい」
………
「…それで、そうだんってなに?」
「あのね、みさきね、さとしくんのことがすきなの」
「そうなんだ!なんとなくきづいてたけどね」
「え!きづいてたの~!はずかしい!さとしくんにはばれてないかな」
「さとしはどんかんだからきづいてないとおもうよ」
「よかった~それでね、さとしくん、もうすこしでたんじょうびでしょ?なにかプレゼントしたいなとおもって、こんどのにちようびにさがそうとおもってたんだ」
「なるほどね、いいんじゃない?さとしにもさりげなくほしいものきいたりできそうじゃん」
「ひかるちゃん、ありがとう、どきどきするな~なにきていこうかな」
「なにきてもみさきちゃんはかわいいよ!…じゃあそろそろかえらなきゃ」
「ひかるちゃんありがとう、また明日ね!」
「うん、じゃあね!」
・
「ただいま~」
「ひかる!こんな遅くまでなにやってたの!」
「ごめんなさい…みさきちゃんが…」
「ひかるはいつも言い訳ばっかり!もう遊びにいくの禁止だから!」
「でも、こんどのにちようびはみさきちゃんとあそぶよていがあるんだけど…」
「そんなの断ればいいでしょ!早く宿題しなさい!」
……………
…………
………
……
「おはよう…」
「おはようひかるちゃん!どうしたの?元気ないね」
「こんどのにちようびのことなんだけど…」
「おはよ!みさき!ひかる!」
「おはよう、まさとくん!」
「あのね、ふたりとも、ごめん!こんどのにちようびなんだけど、バイオリンのおけいこだってわすれてて、行けそうにないや」
「ひかるちゃん、バイオリンならってるんだ、すごーい!でも、いけないのはざんねんだね…ちがう日にしよっか?さとしくんにもきいてみるね!」
「ごめんね、わがままきいてもらっちゃって…」
嘘という人生 ひかる @hikaru-0118
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