星取表
@HHamaoka
第1話完結
ルンルン♪
さてさてキミは何枚目~♪
パンケーキ作りはおてのもの。
いくつからだったかなぁ?全部自分でできるようになったのって?
ササっと記憶が巡る。
毎年のことだから、あんまり正確には分かんないや♪
1、2、3、・・・、13、14、15、、、。
ありゃ。まだ足りないや。
粉あったっけかなー?
シャカシャカシャカシャカ。
パンケーキ作りはお手のもの♪
カチャ。
玄関のドアが開く音。
お父ちゃん!
なわけないよね。
あら?まだミックス作ってるの?
やっぱりお母ちゃんだったか。
エヘン!こんなに高くなったぞ!
ふえー。でも、クリーム。どうせまた頑固に菜箸使うんでしょ?間に合うの?
クリームどころか今年はスペシャルよ♪
お鍋から甘く香ばしいカカオの香り。
へぇー。ホントにスペシャルねぇ。
お父ちゃんが約束した時間通り帰ってくるなんてことまずないからねー。ま、空飛ばなくてもいいんだから。地続きにいる安心感♪おっと。ともかく、足りてない分焼いちゃわないと。ラリラリラ~♪
さすがに今年までかねぇ。
お母ちゃんの声が急に老けて聞こえる。
えーっす。
夕食がすっかり片付いた後の静まったリビングからは暖房で暖まっている冬ならではの空気に乗って微かにテレビの音。
めったに居合わせることのない時間帯なのに珍しいな?と感じる。
そうそう。今日はコユキの誕生日。
こっちも久々。何年ぶりかな?
お父ちゃん。私決めたよ。
こちらのハッピーバースデーよりも先にお帰りでもない言葉が飛んできた。
そうか。
黙って父は夜風でまだひんやりするコートをハンガーにかける。
まぁた一杯やってきたの?相変わらず付き合いいいのね。
まあな。おっ!?エライしましまやん。なにこれ?
星取表。私も忘れちゃっててさ、お母ちゃんと意見割れた年もあるけど、まあこんな感じ?通算成績。
ちゃぶ台にそそり立つタワーはしましまというよりもはやチョコレートケーキだ。
えらい負けたなぁー。
それでもてっぺんは白。
何色でもいい。
これからはきっと遠い彼の地でタワーが立つ。
最初は一枚から。
ツイン、いや、トリプルも!?
パンケーキならどこででもできる。
菜箸で泡立つならクリームだって大丈夫だろう。
やっぱり三人そろっては格別だ。
区切りの大事な年に白星に恵まれたことを皆で静かに感謝。
おいしそうだけど、ずっととっておきたいなー。
心地よいしびれの残るコユキの指には指輪が一つキラリと光っていた。
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