第26話 エピローグ②

「さあ! 打ち上げのカレーパーティといくぞい!」

 戦闘中、唯一大した動きを見せなかった博士だけは元気いっぱいである。


「――少輔」


 そのとき、かぼそいこえで京子が呟いた。

「うん?」

「――ありがとう」

「いや、礼を言うのはこっちだよ。大切なブレスレットで俺の命を救ってくれたんだ、その分はキッチリ働かねーと。本当にありがとな」

「ううん、違うの」

 彼女は車窓に目を向けた。雪は激しさを増している。この調子だと、明日朝までにはかなり積もりそうだ。

「その靴、履いててくれて。嬉しかった」

 俺は視線を下に移す。夏の大会前、京子がプレゼントしてくれたサッカースパイク。残念ながら試合で使ったのは六十分程度で、その後はもっぱらボールではなくヤンキーを蹴り飛ばしているのだが。

「知ってたよ、私」

「うん?」

 京子は答えなかった。隣を見ると、彼女は安心したように寝息をたてている。先ほどまでの獅子奮迅っぷりが嘘のようだ。

 俺は黙って肩を貸してやった。

 

 日本の平和を守るため、今日も五人の戦士たちがコンクリートジャングルシティを疾走する。

 人類の自由のために、今日も戦え、サルレンジャー!

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総天然色ヴァルキリーズ! とらまる @fuguchiri

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