第25話 エピローグ①
「あれ、そういえば桃狩さんは?」
俺と博士は寒さに凍える三人をハイエースに押し込み、社内暖房をマックスまで上げた。皆のマスクの内部マイクから着信音とともに桃狩てとらの甘い声が聞こえたのは、博士がハイエースのエンジンを回したのと同時だった。
『みんなお疲れ様ぁ』
音声とともに、ゴーグル内部にはてとらの素顔が映し出される。少し火照ったような頬と、潤いを湛えた瞳が相変わらず色っぽい。
「おおてとらクン、お疲れ様。こちらも片付いたぞい」マスクを着けていない博士は、ノートPCを立ち上げグループ通話に加わっている。
「彼女の能力は隠密潜入捜査特化型なんじゃ」博士が俺に耳打ちして教えてくれた。
「で、そっちはどうじゃ?」
『シロハマグマリ女の彼ぴっぴはねー、事前の調査通り「毒シシャモ男」だったの。意外と簡単に落とせたよー。他に各幹部の特殊能力とー、今後の破壊工作計画とー、幹部四天王の泥沼三角関係証拠LINEも入手できたし、一部「週刊文秋」にタレコミ済みだよぅ』
「敵組織はテニスサークルかなんかか?」
「上出来じゃ! 毎度てとらクンの色仕掛けは天下一品じゃ。さすが元関東一のオタサーの姫にしてサークルクラッシャーじゃの」
「色仕掛けっておい」
「深くは追及しなくてよろしくてよ、読者層的に」疲労困憊の麗麗華が吐き捨てるように言う。
「てとらのベースになってる“ボノボ”は霊長類で唯一、生殖以外で性行為を行う動物なんだ」変身を解除したソーマがぐったりとして呟く。
「だからボク、男の人入れるの心配なんだよなあ」
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