過去の記憶、今の形

レシラム

第1話 過去

「なんだろう?何かを。誰かを忘れてしまったような。大事な人を。

その人は僕を覚えているのだろうか…」






僕は高校1年生の北河翔悟。

高校1年生と言っても今日からだけど。

今は、恐らく3年間お世話になる高校の入学式に向かってる。

隣を歩くは親友の玉橋大樹。

幼なじみだ。

二人で高校まで足を運ぶ…




「僕がまだ小学三年生の頃。交通事故にあった。生きているのが奇跡なくらいの大きな事故だったらしい。

しかし僕は、両親と事故以前の記憶を失った。

僕が目を覚ますと、白い天井が見えた。

病院だった。そこで僕は事実を知ることとなる。そこから先は何も考える事ができなくなった。

ただ生きていくだけの人生が始まるんだ。

そう思った。

そんな僕に、てを差し出してくれたのが大樹だった。

僕は記憶を全て忘れたわけではなかった。

両親や大樹は記憶に残っていた。


両親を失った僕は彼の家に泊めてもらうことになった。

もはや住んでいるのだが…

彼の両親とも昔とも仲が良く、お互いの家族でキャンプにだっていった。

今でも彼らには感謝している。

ただ、以前の記憶が無いのは辛いものだ。」



高校生になるという節目の今。

こんなことを考えていた。

思い出したくないのに。

そして、隣を歩く大樹に言った。

「今までありがとうね。」

すると大樹は

「なにを今さら改まって!

俺は兄弟みたいなもんじゃん?」

なんて言ってくれた。

「なら、大樹がお兄ちゃんかな?」


「当たり前じゃん。お前は弟な!

これからはお兄ちゃんの

ゆうことをきくように!」


「えー。イヤだぁ」


「冗談だって。

まぁ、そんな気にすんなよ!」


「うん」


いつもの二人のように話ながら、僕らは門を通る。



これから新しい幕が上がる。

いつまでも大樹に頼るわけにはいかない。

そう決めた瞬間でもあった。

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