第3話


「あれ?ここは………?」


私はヤーウェさんに最初の街-ファーロン-へと転送してもらったはずだったのだが、そこは街の雰囲気とはまるで違い、目の前には何もなく、どこまでも続きそうな広い空間があり、そこに何時間もいれば気分が悪くなって段々と気が狂いそうな空間が広がっていた。


頭が混乱し、しばらくその場で呆然としていると、不意に背後から声がした。


「ん?なぜ人間がここにおるのだ?いや、どうやってはいったのだ。」


慌てて振り向くとそこには、鋭い爪、ギラギラとした爬虫類特有の目、巨大な口から覗く鋭い牙。


………そう

全長が100m近い真っ白で巨大なドラゴンがいました。


「おい、人間の娘よ。聞いておるのか!我の質問に答えよ!」


私が二度目の混乱に見舞われていると、しびれを切らしたのか真っ白で巨大なドラゴン-白竜-がさっきよりも強めに言った。


「あ、ごめんなさい!あまりにも衝撃的過ぎて…」

「ふん、まあ良い。それで人間の娘よ、お主はどうやってここへ来たのだ?」


私がわからないと答えると白竜は怒気を潜めた。


「いえ、それが私にもわからないんです」

「わからないだと?」

「はい、最初の街-ファーロン-へ転送されるはずだったんだけど、気が付いたらここに飛ばされてて私にもさっぱりわからないの」


私の言葉に訝しみながらも白竜は納得してくれた。


「こんな場所に干渉することができるやつはそうそういまい…。となると一番可能性があるのはあ奴かのぅ」


しばらくその場に放置され、私がどうしていいのかわからないでいるのにぶつぶつと独り言を言い一人で勝手に納得している白竜を睨んでいると、こんなことを言い出した。


「人間の娘よ、せっかくこんな場所に来たのだ少し我と話をせぬか?」


断る理由が見つからなかったので了承の旨を伝えた。




◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



「つまり、あなたはその戦いに敗れて負けて封印されたってことなのね。それで、ここはあなたを封印してる場所ということ?」


白竜との会話で白竜がなぜここにいるのかが判明した。LWOの世界には7体の邪獣と対となる7体の神獣がいた。邪獣と神獣との戦いは拮抗していたが、その拮抗がある日、突然崩れた。邪獣陣営に新たな邪獣が誕生したためである。その邪獣は生まれたばかりなのにとても強く、数で負けていてあっけなく均衡は崩れたのだ。徐々に押されていった神獣が次々と倒れ、封印されていった。神獣たちは諦めず最後まで戦い抜いた。最後の神獣は邪獣を一体倒したが。力尽きて倒れ封印されてしまったのである。戦いは終わったが邪獣側も無傷とはいかずかなりの傷を負っていたため。傷を癒すために眠りについた。こうして邪獣対神獣の戦いは終わったが、戦いの跡地には戦いの余波により濃密な魔力だまりが残った。さらに、そこから魔物が生まれた。人々は邪獣の恐怖から逃れることができたが、代わりに魔物の恐怖に脅えることになった。で、この白竜は邪獣との戦いで負けて封印された神獣の一体と言うわけだ。


「その通りだ。我は邪獣どもとの戦いに敗れ封印された。お主も見た通りここには何も存在せぬ故、暇で暇でしかたがなかったのだ。がっはっはっは」


邪獣に負けて封印されたというのになんとも呑気な竜である。

私がそんなことをいってる白竜を見て苦笑いを浮かべていると、


「ところで人間の娘よ、お主の名前は何と言うのだ?」

「あ、自己紹介がまだだったね。私の名前はマチです。白竜さんあなたは名前も教えてくれない?」

「我に名前などは存在しない。だが、皆からはファフニールと呼ばれておった。しかし、もう昔の話だ。人間の娘よ、この際だ、お主が我に名前を付けてくれぬか?」

「え、私?私でいいの?」

「構わぬ」


たしか、ファフニールは北欧神話に出てくる竜で英雄シグルドの持つグラムに倒されたんだったよね。じゃあ、そのジークフリートとファフニールを合わせて……。


「じゃあ、シグファルドなんてどお?」

「ほぉ、中々良い名前ではないか。気に入ったぞマチよ感謝する。これからは我のことをシグファルドと呼ぶがよい」


そうやってシグファルドは巨大な口を歪めて笑った。


「マチよ、久々に楽しい時間を過ごした。礼として我がファーロンへと送ってやろう。今の我でもこのくらいのことはできる。それと、これを持っていくが良い。餞別として持っていくがよい。」


そうやってシグファルドから透明に輝くブレスレットをもらった。




  ***ファフニールのペンダント***

  ファフニールから友好の証として認められたものに贈られるペンダント

  これを装備することによって取得経験値が少し多くなる。

  効果:取得経験値上昇(微) AGI+20 DEF+5



「っ!こんなもいいものをもらっちゃてもいいの?」


初期にこんな良い装備を持っていたらはっきりいってチートだとおもう。

でも、これで敵を倒し易くなったり、死ににくくなる。ありがたくもらっておこう。

それに、ペンダントの友好の証として認められたものに贈られるペンダントと言う説明をみて私はとても嬉しかった。


「餞別だといっただろう。いらなければ返してもらうぞ?」

「いらないだなんて思ってないよ!ありがとうシグファルド!」

「よし、ではこれからマチをファーロンへと送ろう。いつか我と再び会うことができるだろう。その時を楽しみに待っておるぞ。」

「うん、ありがとう!またね、シグファルド」


そして、私は淡い光に包まれて目の前が暗黒に包まれた。








マチ

HP:25

MP:10

STR:20(5)

DEF:20(5)

AGI:40(20)

INT:10

DEX:10


装備

頭  :

体上 :初心者の服

体下 :初心者のズボン

腕  :

足  :初心者の靴

アクセ

頭  :

顔  :

首  :ファフニールのペンダント

腕  :

足  :

耳  :



スキル

刀lv1 察知lv1 STR上昇 取得経験値上昇(微) ※※※※※(ユニーク)


残りスキルポイント:0

残りアビリティポイント:0


称号

《神獣ファフニールの友人》

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