四志・零御・フォーファウンド

大人に成れない子供たち


 わたしは雲を見ていた。


 ポツリと雫が降ってくる。


 ポツリ、ポツリ、ポツリ――


 手で雫を救い上げる。


 ポツリ、ポツリ、ポツリ――


 ポツリ……、ポツン、ポツン――


 こんなに雫が降って来たら、もう救い上げることはできなくなった。


 わたしは集めた雫を解き放った。


 それは大きな黒い塊で、汚いものになっていた。


 どうしてだろう?


「それは――」


 わたしの疑問に、雲の切れ間から顔を出した、神様が答えた。


「あなたの救い上げた弱者たちは、あなたに執着していたから。見放されることが分かったから、あなたを恨んだ」


 そんな、とわたし嘆く。


「でも安心して」


 神様は太陽のような眩しい笑顔をつくる。


 いつの間にか、空に雲は浮かんでいなかった。


「あの子たちはまだ子供。大人に成れなかった可哀想な子供たちなの」


 そういうことだったんだね。


 わたしはスキップを始める。


 子供は嫌い。


 でも――


「また救ってあげよう」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

四志・零御・フォーファウンド @lalvandad123

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る