第6話 腹で(弟?視点)

腹で

細胞分裂を始めた日から

私は、歪み始めたのだ。

近付いてくる体外に排出される日。

見てしまった未来の死。

赤子の私は流される。

生まれて直ぐに。

決められた死に向かい、私の体は成長する。

私は請う

腹が裂けるまで

胎内にいられたら

私は呪う

刻よ 愚かな母胎に死を

私だけ死ぬのは許さない

遺棄理由等どうでもいい…唾棄に値うる

刻が満ちれば

思考力が弱まり

体外に排出される頃 この仮人格は消失される


…。

誰だ、お前。

…母体を乗っ取るか

…いいな

いい考えだ。

我の予知開化を促したのも

お前だろう。

多重化した赤子に興味があるのか

面白い。

我が手足を望むなら亡者の巣窟へ潜入し、地位を確立せよ。

刻がきたらば、我は動こう。

家を手中に収める算段を…

さぁ始めよう

母体よ先ず

お前を始末してやる

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水琴窟 箔對店主 @hacutai-tenshu

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