第5話 不信

身体に痛みが走り、身動きが取れない。

(息苦しいな…)

不審に思い頭を巡らすと、

点滴の管と半分ぐらい液体が入った容器が視界に映る。

同時に呼吸器を付けられている事に気が付き納得した。

『満身創痍』

この状態は正に其れに尽きるだろう。


酷く淋しい。


暫くして医師や看護士らが数名、

病室に入ってきた。

僕の目覚めを確認した後、

誰もかもが痛ましげな表情を浮かべ、

両親と『弟』の死を、

一様に使い古された御悔やみの言葉で

彩り始めた。


…赤ん坊が死んだ?


疑問が胸を焦がす。

あの時、確かに誕生した筈…。

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