フリーライター ダグラス・カイン
俺の名前はダグラス・カイン。
雑誌のフリーライターをしている。
とはいえ俺の書く記事はどれもこれも全くと言っていいほど信憑性がないそうで、編集長からはいつもボツをくらってばかり。
実際の所はたまにマイナーな雑誌に小さな記事を掲載してもらえる程度で、書き物で食っていくことなど到底できるわけなどなく、今は仕方なく日雇いのバイトを見つけては日々の生計を立てている。
そんな俺は親戚の紹介で、この街の外れにかけてある橋の補修工事に参加するために、2週間限定でこの街へと越してきた。
ちょうど同じ時期に、観光雑誌からこの街の特集を依頼されていた俺は、二つ返事で自らこの二足のわらじを喜んで履くことに決めたのだった。
俺はこの街についてすぐ、親戚の知人であるウェスカーさんの家を探す事にした。
息子が都会に就職して空いた部屋があるというウェスカーさんのお宅に、俺の親戚が部屋を格安で貸してもらえるよう、掛け合ってくれていたのだ。
俺は親戚に手渡されたウェスカーさんの住所を頼りに、ウェスカーさんの家を探した。
何人かの人に道をたずねてみたが、どの人もみんないい人ばかりで誰一人として嫌な顔などせず丁寧に道程を教えてくれた。
目的地へと向かう途中、俺はある劇場の前を通りかかった。
そこは平日だというのに、まるでフェスティバルかのように賑やかで見ている俺も大人ながらにワクワクしていた。
「マルッセルの劇場へようこそ~」
劇団員だろうか。
オリエンタルなメイクと衣装に身を包んだ女性から赤い飴玉を手渡された。
「いい街だな。」
手渡された飴玉を頬張りながらこの時俺は、
純粋にそう感じていたのだった。
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