第12話 RYDEEN。。

新しいRYDEENを聞いている

グラスを叩いてる様な心地よさ

忘れていた記憶が蘇える

長月の終わりの頃の話



オートターンテーブルが壊れ

僕が針を落とす係りで

君が録音ボタンを押す係り

「せーのーで」って合わせたつもりが

はずしたのは僕のほう

君はカセットテープを取り出し

鉛筆でクルクルと

白い所まで巻いている

2回目も失敗した僕は

ただただ謝るばかりで

最後に鉛筆を「ボキッ!」って折った

君の姿を思い出す


それでも笑ってた

やさしい顔が好きだった・・・



レコードがCDに変わる頃

君は意味不明な事を言ったね

レコードって表と裏があって

なんか人間っぽいよね

それなのにCDは裏しかないんだよと

先の未来はこんなんでいいの?

だから僕は言ってやったんだ

よく見れば虹色に輝いているじゃない

そう考えればこの先意外と

僕等の未来も悪くないかもね

結局キザなレッテル貼られた僕と

機械おんちの君といつもの2人


ただ一瞬見せた淋しそうな

君の目が気になった・・・



君の大好きだったYMO

レコードのしまい方で大ゲンカ

指紋は絶対つけないで

ビニール袋の端は折らないで

斜めに立てかけないで

結局このケンカが最後になって

君が「Bye-Bye」って置手紙してから

何を探していいかもわからず

意味さえわからずここまで来た



君が大好きなレコードは棚にあります

あの時のレコードプレーヤーは

もう動かないけど 君の遠い思い出が

プチプチ音をたてながら

廻り始めた・・・



僕は大きなヘッドフォンを取り出し

焼酎をウイスキーに変えて

カセットテープで再生させた


ボリュームを少し下げ 

目を閉じた


目を閉じた・・・

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もう一つの流れ星 ササキ リノ @orangerobo

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