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「まず、ここから出るのは簡単だ」
フレイはひとつひとつ説明していく。ここまでは普通だし、大体読めていた答えだ。
「この隔絶された空間を、現実の空間につなぐだけだ」
それはつまり、ここと校内一体化させるということか。だがそれから?賢人のことは、どう見る?
「んで、次の話だったな。賢人の件は……まあ、現時点では何もわからない。助かりはするだろうが……俺たちの行動には何ら変わりない」
ということは、だ。
「変わりない──ってことは、俺たちは──」
そこでフレイは、表情を変えた。その表情は、不敵に笑っているようにも犯人を心の底から憎んでいるようにも見えた。
「決まってるだろう?犯人のことを調べて、とっちめるのさ」
とっちめる、か。
フレイは美化しようとしたのだろうが、その言葉が表す真の意味はすぐに汲み取れた。
──殺す。
それこそが復讐の真髄であり、また目的でもある。
さらに俺たちの身分上、知人に危害が加えられたなら犯人は俺たちの身分を知っている可能性がある。あるいは、賢人を脅して聞かされたかもしれない。
後者の方は、賢人にはバラしてないため直接的には問題ない。だが、賢人にしてみれば何ら理由はないのに脅されたのだ。俺たちを問い詰めてもおかしくはないだろう。そうすると、賢人を口封じしなければいけない。
どちらにしろ、事態はそんなに軽くはないということだ。ならば、俺たちが取るべき行動は。
「……そうだな。なら、まずは──」
「ここから出るか」
そうして、俺たちは教室から脱出。
空間が繋がるところを見られても困るので、体育館裏に移動した。
「んじゃ、始めますか」
フレイが言う。
第2章、開幕だ───
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