16

そして次の日。


「なあ……これ、見てくれよ」


そう言って賢人から差し出されたのは、小型のSDカードだった。でも容量は多そうだ。


「これは……もしや、昨日の夜の映像か?」

「そうだ。俺も見たんだけどさ……まじでやばい」


この口ぶりからすると、尋常じゃないことが起きていそうだ。昨日の夜は、俺は国協本部にいたから武器庫を漁っている間に起きたということか。


「……そうか、ありがとう。帰ったら見てみる」

「おう。……本当にやばいからな」


賢人がそこまで言うとは、それほどのことだということだ。ならば、俺も用心して見ないとな。


「ねーねー、何話してるのー?」


ふいに、横から声がした。セレカだ。


「ああ、セレカか。……そうだ、セレカもあの時一緒にいたよな?だったらさ、今日迅火と一緒に見てくれよ、この映像」


賢人はそう言って、俺の持っているSDカードを指差す。


「……え……?迅火くんと一緒に……?」

「?だってその方が早いだろ。なんなら迅火の家で見れば、お茶も飲めて一石二鳥だろ」

「お前な……」


なんで俺がこいつにお茶を出す設定になってる。……まあ、本当に来るというなら出してやるが。


「た、確かにそうだけど……」

「……嫌なのか?」

「へっ⁉︎」

「そうかー、まあ迅火の家汚いしなー」

「おい、ちょっと黙ろうか?」


だが、俺としても賢人としても、俺の家で見る方がいいだろう。二人で映像についてあれこれ意見交換みたいなものができるし、何より同時に見れてSDカードを渡す必要がない。


「……セレカ、嫌か?別にそれならそれで構わないんだが」

「い、いや、別に構わないよ。……うん、行くよ、迅火くんちっ」

「おう、サンキューな。迅火の家で見れば効率もいいしな」


そこでチャイムが鳴り、俺たちは席につく。

次の授業の担任教師が入ってきて、SDカードが不要物扱いされたら困るので俺は咄嗟にポケットに入れた。


「授業始まるぞー」


教師の号令と日直の挨拶と共に、数学の授業がスタートする。

俺は、その間ずっと映像のことを考えていた。

まるで授業を聞いていなかったのだから、次の小テストで赤点を取ってしまったのは当然のことといえよう。

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