14
俺はその日、授業が終わった後すぐに賢人との調査に行った。
……セレカとともに。
「……なんでお前まで」
「?別によくなーい?」
……あくまでもこいつははぐらかす気だ。まあセレカがいたからといって、特に支障が出るわけでもなさそうだし。
「で、賢人……どこらへんなんだ?」
俺が問うと、賢人はうーんと辺りを見渡し、そして一つの倉庫を指差して言った。
「確か、あれだったかな……?」
なるほど、確かに不自然な跡はある。
例えば、倉庫の上。足跡なのか、一部が凹んでいるだけでなく、砂埃がそのへこみの部分だけなかった。ということはつまり、誰かが倉庫に乗っていた証拠だろう。
「なるほどな……。それで、賢人、どうする?」
「そうだよ、これからだ。俺、もっと詳しく調べてみたかったからさ、昨日これ買ってきたんだよな」
そう言って賢人は何やら鞄から取り出した。見ると、黒っぽい機材にいくつかのコードがつながっており、そのうちの一つの先には小型の集音器があった。
「……カメラか?」
「ご名答」
賢人はご満悦な様子で言った。
「これなら映像も明確に撮れるし、音声だって録音できる。しかも俺の携帯とつながってるから、リアルタイムでも録画でも観れる。小型だからばれにくいしな」
俺は思わず、おお、と感嘆の声を漏らしてしまった。
俺ももちろん、国協の仕事で似たようなことはしたことがある。当然、もっと機材もいいものを使った。
しかし、賢人は素人でありながら、ここまでよい機材を揃えた。見た限り安価なものばかりのようだが、高校生が用意できるベストなものといっていいだろう。
「それはすごいねーっ!白岡くん、よくこんなもの手に入れたねーっ」
セレカも感心した様子で機材を凝視する。
「へへ、まあな。……じゃあ、セットして……、と」
賢人は初めてなのだろうが上手い手つきで、倉庫の影にカメラを仕掛ける。これもまた上手い位置で、そこに強い光が当たったりしない限りは見つかることはないだろう。
「それじゃ、帰るか。日も落ちてきたことだし」
「……そうだな、帰るか。結果が楽しみだ」
「ほんとだねーっ」
俺たちは最後にカメラを一瞥し、倉庫街を後にする。
だが俺たちはこのとき、気がつかなかった。
カメラなどというものでは、到底敵のことを探れはしないのだと。
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