第アグレスト家part1

何とか難を逃れたオリバー達とその一行は

とても気まずい雰囲気の中でアグレスト家へ

向かっていた


原因はハッキリとしていた

オリバーがオークを倒した時に言った

頚動脈やデトロドトキシンなどの説明のせいだろう

オリバーが前にいた世界では魔法がない

代わりに非常に身体についてや科学についての研究はとても発達していた

しかしどうだろう

この世界に来てみるとよく分からない魔法と

いう異能はあるが

全く科学については発達していない

いや、それどころか身体上についての知識や

戦闘にも体を使った戦い方をほとんど知らないように見えた

この世界の魔法のみの住人からすれば頚動脈やデトロドトキシンなどという言葉はただの怪しい

変人が使う言葉なのだろう

考え事をしてる内に不意にマットと目が合う

するとマットは残念なやつを哀れむような目で見て来た

おいっ、それが命の恩人に対する態度かよ

と突っ込みたくなったが仕方無いと割り切ることにした

もし自分が元の世界で


「俺、実は魔法が使えるんだ☆」


なんて言われても同じ態度を取っただろう

それ程こっちの世界では魔法以外のものが

普及していないのだ

溜息を吐いて歩を進めると徐々に森を抜け

光が隙間から差し込んでくる

光で照らされた赤のレンガの重厚な作り

さながら家というよりも城や居城、アジトなどを連想させる

さながら見た目よりも機能性を重視した作りになっているな

成る程、確かに貴族のような家でありながら

次女を修行に出すような武闘派でもある訳だ

家の構造を見て納得の表情を浮かべていると・・・・・

一人、女性が出迎えるや否や・・・



「おかえりな・・・・!!!!!!!

どうしたのですかお嬢様!!その怪我は!

とにかくご当主様にお知らせしなければ!

いえ、それよりまず直ぐに治療しましょう!!!

医療組!!!お嬢様と護衛の方に治癒魔法を!」




家のメイド長らしき女性が大慌てで出てくる

すると、何人かの遣い間が出て来て、

レイナや護衛組に魔法をかけていく

医療組と呼ばれる人々が負傷した三人に

魔法をかけていくと、切り傷や打撲などの

箇所に白い光が当たり傷口を癒していく

流石に深い傷などは完全には塞がらず止血や応急処置に留まるが、


それでもオリバーは自分の想像してた以上の

魔法の汎用性に驚きを禁じ得ずにいた

実際に魔法をしっかりと直で見たのはこれが初めてだ

戦闘の最中は距離がかなり遠く何をしてるのかはっきりは視認出来ず、

こうして魔法を見て大いなる興味と感心を寄せていると・・・・




「それで・・・・・お嬢様・・・・・・

この少・・ね・、いえ、このお方は?」




メイド長らしき女性がレイナに恐る恐る訪ねた

一瞬、少年と呼びかけていたが、貴族の御令嬢が連れて来たためだろうか

直ぐにこのかたを呼び直したのはやはり

メイド長としては流石に礼儀をわきまえてい

るという事だろう




「彼はオリバー

私たちがブラックウルフや

オークに囲まれてたところを彼に助けて貰ったの

彼がいなければ、私達は確実に死んでいたわ

彼のおかげで私達は今ここにいるの

ミラ、お父様にもお話を通しておいて下さい

彼には最大の敬意と恩義を示さなくてはならないわ」




メイド長のミラは目を大きく見開き

護衛組に視線を向ける

まるで信じられないかのような視線を向けるが、




「あぁ、本当だこいつが居なかったら

俺たちの死は免れなかったろうな

しかもこいつ、オーク二匹を一人で倒しちまいやがったんだよ

信じられないだろうがこれは事実だ」




驚愕をあらわにした表情を暫く作っていたが

ハッと我に返ったのか

直ぐにオリバーの方へ向き



「大変失礼致しました

レイナお嬢様や護衛のマット、ワルスを

救って頂き本当にありがとうございます

私、アグレスト家メイド長のミラと申します

この件は直ぐにご当主様にお伝えし

可能な限りの待遇をしていただくように

手配したいと思います

ご当主様にお伝えしたいと思いますので

今暫くお待ちください」



「あ、いえ、気になさらないで下さい

偶々森を散策していたら

偶然、三人組を見つけただけですから

モンスターを倒せたのも皆さんの協力の

お陰です」




慌てて頭を下げる

前の世界では生い立ちや職業柄にしても

感謝されるよりも恨まれる方が多かったので

頭を下げられるのはイマイチピンとこない

メイド長の女性もそれに応じて深々と頭を下げる

頭を上げると、直ぐに後ろで控えていた

メイド見習い?を連れて屋敷へ戻って行った・・・・・

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最強暗殺者の異世界冒険日記 倉林 アルマ @kurebayashi-8919

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