第4話異世界での発見
少年は逃走の案をもう一人の護衛ワルスと
護衛対象のレイナを説得しこの場からの離脱を図ろうとしていた
しかし状況が芳しくないのは確かだ
ブラックウルフを倒したとは言え
まだ討伐し終わってないオーク二匹
さらにジャイアントゴーレムまで残ってるのだから
少年は少し考えて直ぐにマットに指示を出す
「すいません隊列についての進言をしたいのですが」
「・・・・・分かった、こっちはお前に一度命を救われてる
お前の言う通りにしよう
ただ失敗した場合は責任は取ってもらうぞ」
マットも少し納得がいかない様子であったが、渋々であるが納得し頷く
すると横から護衛の一人ワルスが、
「イヤイヤ、マットさん責任とかないっすよ
そもそもこの状況切り抜けられなかったら
俺たちは魔物に殺されて
魔物の餌にされて美味しく胃の中っすよ」
と、軽口を叩く
「うるせぇっ
軽口叩く余裕があるんなら
そこの少年の援護でもして少しでも
生き残るための可能性を上げやがれ
お前も魔物の胃の中に入りたくなければな」
その光景を見て少年は少なからず感心した
普通絶体絶命の状況になれば誰でも過半数は
落ち着きを保てなくなるのが普通だ
しかし彼らはこの危機的状況でもしっかりと冷静さを保っている
戦闘力はともかくとして幾らかの
危機的状況や修羅場をくぐった経験が
伺える
しかしいつまでも軽口を叩いてる暇はない
直ぐに隊列を決める
列の先頭はまだ魔力に余力があるマット
そして列の二番目には護衛対象のレイナ
三番目にレイナを挟み込む様にしてワルス
最後部のしんがりが少年という形だ
少年はこれからの作戦を実行するためにも
どうしても後ろで陣を取る必要があったのだ
列を組むとオークも警戒をしてこちらを注意
深く見ている
急に形を変えたことによる不信感かはたまた
折角の女と獲物に逃げられない様にする為か
どちらかはわからない
しかしそんな事を気にする余裕は無い
暫く両者にらみ合いが続く・・・・
そして・・・・オークの注意が一瞬逸れた隙に
「今だ!!!!!!!全員撤退!」
一目散に走り出した!!!
ブモッ!?
不意をつかれたのだろう
まさか逃げるとは思っていなかった様だ
少しタイミングが遅れてオークも走り出す
オークに目も向けず走り出す三人
しかし流石のオークも足が速い
遠かった足音が徐々に近付いてくる・・・
「おい!どうするんだよ!!!!!
このままだと追い付かれるぞ!
あんなのに突っ込まれたらひとたまりもねぇ!!!!!」
マットが焦燥の混じった声で叫ぶ
よし・・・・・ここまでは計画通りだ
まさか遺跡用に持ってったロープがこんな形で利用されるとは思わなかった
本来ならこのロープは遺跡が穴だった場合にどこかに引っ掛けて使うものだ
足音が近づいてくる
ドスッ・・・・・・ドスッ・・・・・ドスッ・・・ドスッ・ドスッ!!!!
「ココだ!」
ロープの先を投げ、木に先端の器具が引っかかる
そしてもう一方を近くの木にもう一方を
木に引っ掛け・・・・・
ブモッ!?!?!?
目の前に急に現れた紐によりオーク二匹は
足を引っ掛けその勢いで足の骨がバキバキバキバキと嫌な音を立てて折れる
もう一匹は幸い足の骨は折れなかった様だが
テトロドトキシンの塗ってある中剣で
オークの頚動脈に突き立てた
このテトロドトキシンという毒は神経毒
でありギリギリまで意識が残ってることが
大きな特徴である
しかし筋肉弛緩や呼吸困難などに徐々に陥り最後には意識不明になり死亡する
少年が対人戦闘やターゲットを毒殺するときにしばしば使っていた毒である
オーク二匹がを毒殺しジャイアントゴーレム
が追ってこないのを確認すると
他のメンバーが寄ってきた
「っおい!すげーなお前!!!!!!
魔法無しでオークやブラックウルフ倒した
奴なんて初めて見たぜ!!」
「本当ですよ!!!
どうやってオークを倒したんですか!?
見た所骨は折れてますが、それだけではこうはならない筈
とても興味深いです
是非この後、ご教授頂きたい!!!!!」
「二人共、騒ぎすぎですよ
このお方が困っているでしょう
先程はお命を救って頂き有難うございました
私はアグレスト家次女レイナ・デ・アグレストと申します
お礼も兼ねてこの後、我が家にお招きしたいのですが
どうでしょう?
父上も貴方様のことを話せば快く受け入れてくれる筈です
ところで貴方様のお名前は?」
キタッ!と心の中で思った
正直、この世界のことをまだ自分はほとんど知らない
命を救った見返りといえば少し汚いが
それが目的の為にこの行動をしたのだから
しかし名前はまだ決めてなかったな前の世界では
イリアと名乗っていたが・・・・・
もしこっちの世界に来れる手段があれば名前をあちらの世界でかなり売ってしまった以上かなり厄介だ
なので・・・・
「オリバーです宜しくお願いします」
と、当たり障りのない名前を出し笑顔で答える
するとレイナも笑顔で、
「宜しくお願いしますオリバー様!」
破壊力抜群の笑顔で受け答えした
あまりに裏表無い眩しい笑顔で返されたので
表情筋が緩みそうになったが得意の
社交的スマイルで乗り越えた
しかしさっきから横で・・・・・
「なぁなぁさっきのやつなんだよ?
めっちゃ気になるじゃん
早く教えてよ、早く、早く、早く・・・・・・・・・・・・・・」
正直・・・少しウザかったが、初対面で
さらに悪意のあるわけでも無いので対処の仕様に少しばかり困った
毒の事も言おうかどうか迷った・・・
正直言うと自分身柄や生い立ちなど職などが
バレる可能性があったからだ
しかし・・・・・
(流石に頚動脈のことぐらいは知っている筈
ここではまだ初対面、言い訳はいくらでもいいようはある)
と考えたオリバーは
「デトロドトキシンという毒を頚動脈に
突き刺したのですよ
頚動脈は脳や体に血が流れる重要な場所ですからそこをひと刺ししたというわけです」
と説明した・・・・・つもりだったが
ん?
何か様子がおかしい・・・・・
恐る恐る様子を伺い質問をすると
「なぁ?頚動脈って何だ?
つーか毒って何だよ?
初めて聞いたわそんな言葉」
は?
何を言ってるんだ?
毒だよ毒
護衛する人間はこんなに無知なのか?
今度はレイナ視線を向けてみると・・・
「?すいません
私も全く存じ上げない単語で・・・・」
と申し訳無さそうに俯いてしまった
いやいや本当にまさかとワルスの方にも
再度視線を向けてみるが・・・・
全く同じ反応だった
唖然とオリバーがしていると
「まぁ!とにかくすげー技でオークを
倒した!それでいいじゃねぇか!」
とワットが場を締め直す為、大声で笑い始めた
そしてこの会話を整理し俺は一つの推測を立てた
もしかしてこの世界は・・・・
全くもって魔法以外は進んでいない世界なのかもしれない・・・・・・と
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