五行について ②性質

 前回道教の本を読んだってちらっと書いたじゃないですか。でも相変わらず五行思想は強敵として私の前に立ちはだかっています。

 なお本当は参考文献では、前回の五行思想の意味の次は干支(十干十二支のあれです)について述べられていたのです。でも(私にとっての)分かりやすさのために、その次の五行の性質の方を先に取り組むことにします。皆さんも五行の意味→性質という流れの方が分かりやすいと思いますよね!? そうですよね!?


 究極までまとめると五行の性質は↓こんな感じです


     木   火   土    金    水

陰陽   少陽  陽   中間   少陰   陰

性質  曲直  炎上   稼穡   従革 潤下


 ――すみません。正直また訳が分からなくなったので手を抜きました。ちゃんとまとめると↓こんんな感じです。


木:少陽であり、陰をも含んでいる。曲がったり真っ直ぐになったりすることを性質とする。

火:陽に属するが陰をも含む。よって火は内側が暗い。燃え上がることを性質とする。

土:他四つの性質を備えている。夏の土用には陽気が衰えて陰気が生じる。作物を植えたり、収穫することを性質とする。

金:少陰であり、強く鋭い。柔らかで自在に形を変えることを性質とする。

水:陰に属するが陽をも含む。よって水は内側が明るい。潤って下ることを性質とする。


 以下では五行が順調な時と、そうでない時に生じるとされることを述べていきます。また、そもそもどうして五行が順調になったり順調でなくなったりするのかも述べていきます。


 順調:君主が威儀を正し、狩猟や酒盛りにおける決まりを守る。春は農業の初めであるから、何事もなければ天子は地方を巡らず、民衆が農業を行う妨げにならないようにする。

 →木は曲直する=曲がっていても真っ直ぐでも、地上に生える。真っ直ぐであれ曲がっているものであれ、木が盛んに繁るからこそ、形によって適した使い方ができるのである。


 非順調:君主が威儀を失い、飲酒に耽る。夫役や税を重くし、節度なく狩猟を行う。

 →木は曲直しなくなる。つまり春になっても草木は成長せず、民の役に立たなくなる。


 順調:君主が明らかな方向に向いて政治を行う(だから天子は南面して政治を行う)。また天下の秀才を朝廷に集めて補佐させ、邪心ある臣下は退け追放することで、政治を正しい姿に戻す。

 →火は炎上する=光を上げて、盛夏には気が極まって上る。


 非順調:君主が愚かにも賢臣を遠ざけ、佞臣を重んじる。法律を無視して肉親を疎略に扱う。忠義から讒言する臣下を殺して罪人を許す。嫡子を跡継ぎの地位から廃して、妾腹の子を立てる。また妾を正妻とする。

 →火は炎上しなくなる。また、用いていないのに生じて、風に煽られて宗廟や宮殿、民の家を焼く。


 順調:天子から士人まで、宮中においても寝所(=妻妾)においても地位の差がある。また九族(父方の四親等、母方の三親等、妻方の二親等のこと。あるいは高祖父から玄孫までの九親族のこと)にも順序がある。こうした決まりを全ての人々が守る。

 →土は稼穡する=種まき(稼)と収穫(穡)がうまくゆく。よって穀物が実る。


 非順調:君主が心のままに宮殿や物見台を拡大し、五色をちりばめ(=飾り立てる、ということかも?)、人力を使いつくす。親しき間柄と疎遠な間柄の区別が失われ、妻妾も度を超す。

 →土は稼穡しなくなる。五穀も実らなくなり、風や霧によって害を被る。


 順調:君主が兵に教え、軍隊を集める。不義の者を殺して某乱を禁じ、一般民衆が安心して生活できるようにする。天下泰平であっても戦争のことを忘れてはならないのである。ただし、強大な国であっても戦争を好んでいては必ず滅亡するとも言われている。殺生は正しい道理によって行われなければならないのである。

 →金は従革する=規範に従ってあらたまり、形が革まって器を成す。


 非順調:君主が侵略や戦争を好み、情欲や贈り物を貪り、人民の生命を軽んじる。すると人民が騒動する。

 →金は従革しなくなり、鍛冶屋が鋳っても滞って固くなるため、できないものが多くなる。また、万物が全て熟す秋になっても、万物が成らなくなる。


 順調:天子は自ら耕作し、王后は自ら養蚕する。また両者が自ら祭祀を行い、神に対する尊敬の意を示す。死者の魂魄のうち、魂は天に昇って神となり、魄は下降して鬼となる。宗廟で祭祀を行うことは=散じた元気(元来ある気)を収める行為であり、鬼神も大いなる福をもたらす。

 →水は潤下する=湿った方に流れ、窪みに従って下る。よって水は民の役に立つ。

 

 非順調:天子が祭祀を行わず、鬼神を侮る。

 →水は潤下しなくなり、急に出て溢れるようになる。すると城邑まちが壊れ、人にも被害が出る。


 古代中国の為政者は大変だったでしょうね(てきとう)。

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