十六冊目 五行思想

五行について ①意味

 突然ですが、五行思想ってあるじゃないですか。南の色は赤で~とか。私あれを学ぼうと思って「五行大義」という本を読んだんです。でもあんまり頭に入って来ませんでした! これは私の知識不足のせいです。前提となる知識が不足している気がする。でも、まとめるつもりでもう一度読み返せば、多少なりとも理解が深まるかもしれない。というわけで、犯罪心理学の本に着手するまでは、五行大義と格闘していきます。

 もっとも、内容を理解しきれていない人間の言うことなので、以下の内容はあまり信用しないでください。さらりとしか触れるつもりはないですし(内容を深くは掘り下げられないだけです)。五行大義に興味が出てきたら、ご自分で内容を確認することをおススメします。


 さて。そもそも「五行大義」とは隋代に著された、五行思想についての説をまとめた本です。もっとも本場でもあり故郷でもある中国では早くに失われてしまったのですが。こういった、中国で書かれたけれど中国では失われてしまい、日本や韓国に伝わっていたおかげで後世に残った本は「佚存書いつぞんしょ」と称されます。

 私が読んだ「五行大義」は新装版中国古典新書というシリーズのものです。私が読んだ五行大義は冒頭で成り立ちや日本に与えた影響について詳細に述べられていたのですが、そこの下りはカットいたします。気になる人は(以下略)です。


 本ではまず、五行、すなわち「木火土金水」の性質や名称の由来について述べられていました。また、個々の漢字がどうしてそのような形になったのか――例えば「木」はなぜ「木」という風に書かれるようになったのかについての、五行思想における解釈も述べられていました。もっとも、漢字の形の成り立ちについては、五行思想的には諸説が入り乱れているようですので、簡単にしか述べません。


  木(mù)=冒(mào/mò)。大地をおかして出る。

  火(huǒ)=化(huà/huā)。陽気によって万物が変化する。上に上がる。

  土(tǔ)=吐(tǔ/tù)。気の精を含んで吐き出し、物を生じさせる。

  金(jīn)=禁(jīn/jìn)。陰気によって万物をふさぐ。

  水(shuǐ)=準(zhǔn)。万物を平準たいらかにする。

                ※カッコ内は普通話プートンホアでの発音


 だいたいこんな感じの意味だと述べられています。万物を平にするのが水というのは、河の氾濫を考えれば分かりやすいですよね。

 次は、五行思想における方角と季節についてです。

 

      木   火       土       金   水

 方角   東   南        中央       西 北

 季節   春   夏   季夏・四季の終わり    秋   冬


 こんな感じで、五行思想において五行と季節と方角は結びついていますよね。それについては知っている人も多いでしょう。でも、たとえばなぜ火と南と夏が結びついているかというと、感覚では理解していても、きちんと理論に則って答えられる人はかなり少ないのではないでしょうか。でも、その理論が載っていたのです。


 まず、本で述べられていた方角の性質についてざっくりと述べていきます。


 東(dōng)=動(dòng)。万物が初めて動き、生じる。太陽(日)が木の向こうから上ってくるさまを表した字でもある。

 南(nán/nā)=任(rèn/ rén)。万物をはらむ。養う。成長させる。

 中央=万物を包含する。

 西(xī)=鮮(xiān/ xiǎn)=遷(qiān)=訊(xùn)。初めて入る。太陽が西に沈む様を指す。

 北(běi)=伏(fú)。冬になってみなかくれる。背(bèi /bēi)く。背を向ける。

 

 次は季節について。


 春(chūn)=蠢(chǔn)。虫が春になって動き出す。

 夏(xià)=仮(jiǎ/jià)(上に乗せる、の意)。万物を呼び、養う。

 季夏=太陰暦の夏のすえ(jì)=夏の土用(立秋の直前)のこと。万物が成就する。また季=末=老でもある。老=四季の末に王あるいは主となる、を意味する。

 秋(qiū)=愁(chóu)。うれえる。おさまる。陰気が万物を粛殺(厳しい秋風が草木を枯らす、の意)する。大地のものを元に戻す。また秋=緧(qiū)=縮む。果実が極限まで成熟する、でもある。

 冬(dōng)=終(zhōng)。万物が終わる。中(zhōng/zhòng)にこも(cáng/zàng)る。


 なお、五虫(詳しくはググってください)という考え方があるように、ここでいう「虫」は「動物全般」を指すとも解釈できます。

 ……理論が載っていたとして、それを理解できるか否かはまた別の問題なんですよね(開き直り)! 


 でも、「木火土金水」のうち、どうして木が最初に来るのかは理解できたような気がします。「木」が大地から何かが出てくることを指すのだとしたら、太陽が昇ることもまた「木」と解釈できる(ような気がする)。そこで、木と東が結びつく。春は文字通りの虫であれ、また冬眠していた動物であれ、植物であれ、大地から出てくる季節である。大地から出てくるということはつまり「木」である。そうして、木と春は結びつく。木=東=春は「始まり」である。


 火の「上昇する」という意義に注目すると、植物が成長するというのは「上に上がる」ことでもある。また成長させる=養うというのは、変化させることでもある。こうして火=南=夏となる。


 土も「含む」という働きに注目すると、土=中央となる。また「生じる」ということは「成った」ということである。よって土=季夏となる。


 金は「ふさぐ」という働きを「マイナス方面の働き」と解釈すると分かりやすいような気がします。陰気によってマイナス方面に働きかけられたから、植物は成長を止め、枯れる。そうして大地は元通りになる。また「ふさぐ」を「マイナスの作用によって元通りになる力」=「下降する」と解釈すると、太陽が沈むということも「ふさぐ」なのかもしれません。こうして金=西=秋となる。


 ちなみに、大地を肉とした場合、水とは内に隠れて流れる血に比せられるものでもあります。道教思想においては、人体と世界は等しいのです(最近読んだ本「道教」より)。水の「しみこむ」という性質は隠れるもしくは籠る、伏せるとも称せますよね。伏流水とかそのものずばりですし。何より、冬は冬眠の季節でもある。こうして水=北=冬となる。五行思想は農耕や自然と比較して考えると理解しやすいのかもしれません。ほとんど私のこじつけですけれどね!!

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