南米 その②ボリビア

 今回はウユニ塩湖が有名なボリビアの民族衣装についてです。

 ボリビアの民族は、半分ほどがケチュア人とアイマラ人という先住民族系です(左記二つの他にも先住民のグループは存在します)。残りの約半分の三割もメスティーソ(混血)です。ボリビアの人口構成における先住民族系の割合は、南米で最多となっています。ただ、先住民族が住んでいる地域は一年中寒く、なおかつ農業を行ってもどうにか暮らしていけるほどの収穫しか得られない地域なのだそうです。ペルーとボリビアに跨って存在するチチカカ湖周辺では漁も行われているけれど、それでも裕福とは表しがたいのだとか。


 ボリビアの男性の民族衣装において最も特徴的なのは、円錐形で耳当てが付いた毛糸の帽子・ゴロです。もっとも、ゴロの上に更に中折れ帽(前につまみが付いたフェルト製の帽子のこと。ソフト帽とも)を被るのですが。あとはもちろん、ポンチョも着用します。ポンチョはリャマの毛製で、幅155cm×丈78cmの縞模様の布二枚を、頭を通す部分を残して縫って作った、シンプルなものです。他には、接ぎのある灰色の背広とズボンを着用します。


 ボリビアの女性の民族衣装は帽子+木綿のブラウス+カーディガン+ショールを金や銀のピンで留める+プリーツスカートと、ヨーロッパの影響を濃く受けたものになっています。ただしショールはリャマの毛製ですし、アグワヨという、赤、黄色、黒に緑の縞柄薄い毛織の布製の袋を持ち歩いたりします。アグワヨは市場に運ぶ品物の運搬の他、赤子を背負う際にも利用されます。

 スカートはポエラという名前の、たっぷりとしたものです。ポエラの枚数が多ければ多いほど、また豪華であるほど着用者は裕福だと見なされているため、五枚も六枚も、多い時は十枚も重ねられます。

 帽子は茶褐色もしくは黒のフェルト製の山高帽で、1925年ごろにイギリスから伝わりました。ただ、伝わったのは男性用の帽子である山高帽なのに、女性が被るようになりました。ボリビアの女性はこの帽子を家の中でしかとらないそうです。


 ……今回も文字数が微妙な感じになったので、以下で私が好きな花・サガリバナの話をさせてください。もっとも、直接見たことはないのですが。

 サガリバナはサガリバナ科の常緑高木。アフリカ東岸~インド~東南アジア~太平洋諸島諸国といった、熱帯・亜熱帯の地域の、マングローブの後背地や川沿いの湿地に分布しています。日本では奄美大島以南に自生しています。石垣島や西表島の大規模な自生地は有名です。


 サガリバナは別名サワフジともいいます。別名の通り、藤のように房状に花を付けます。もっとも一つ一つの花の形は藤ではなくて合歓木ネムノキに似ていて、密生する雄蕊が何とも幻想的です。

 この花が幻想的なのは形だけではありません。夏の夜に、一夜だけ開き、翌朝には散ってしまう。なんて儚くて美しいのでしょう。花の色は白か薄紅色で、芳香を放つというところといい、素晴らしいとしか言いようがないですよね。香りも、薔薇のようなチュベローズのようなバニラのような、甘い香りなのだそうです。ますます素晴らしい。

 また自生地は水の近くなので、散った大量の花が水に浮かぶ様が見られることもあります。種子もまた水に浮かび、漂流し、辿り着いた地で花を咲かせます。

 サガリバナについて知れば知るほど、夏の夜を彩る花として、これ以上相応しい花はないような気がしてきます。いつか直接サガリバナの花を見てみたいものです。

 

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