中米 その①グアテマラ・男性編
今回からは南米に入ります。最初は、中米で最も人口が多い国であるグアテマラの男性の民族衣装についてです。グアテマラはかつて栄えたマヤ文明の中心地でもあり、現在でも先住民の多くはマヤ系です。
グアテマラの国鳥はアステカ神話の主要な神の一柱である、ケツァルコアトルの使いとされるケツァール。ケツァルコアトルはマヤ神話の至高神で創造神であるククルカン(グクマッツとも)と同一の神でもあります。ケツァールはお守りとして、グアテマラの織物の文様に頻繁に使用されているそうなので、現在でも親しまれているのでしょう。
ちなみにグアテマラの民族衣装の配色にも、マヤ文明の影響は表れています。グアテマラの民族衣装は上が白もしくは赤、下が黒(濃紺)もしくは黄色という組み合わせが多いのですが、それには以下のような背景があるのです。
五行思想のように、マヤ文明でも方位に色が割り当てられていました。北―白、東―赤、南―黄、西―黒、中央―緑(青)というように。そして東西南北は、北と東は天上と、南と西は地下と結びついてもいました。そしてこの天上と地下という区別が、人体における上下と結びついてもいるので、上記のような配色になっているのだそうです。
では、以下で男性の民族衣装の構成要素について、上つまり帽子から述べていきます。
南米の帽子ソンブレロといえばつばが広く頭頂の部分が高いものをイメージする方が多いでしょう。ですがスペイン語でソンブレロは「帽子」という意味であり、上記のタイプの帽子は「ソンブレロ・デ・チャロ(カウボーイの帽子)」が正式名称になります。現在は麦藁帽子が一般的で、ソンブレロ・デ・チャロは何かの行事で民族衣装を着用しなければならない時や、祝い事や祭日の他は観光客向けのパフォーマンスでしか被らないそうです。
何かを包んだり、子供を包んで背負ったり、頭に被るなどして使う、無くてはならない布です。一部地域で頭に被るために使われるものには、四隅に玉房の飾りがついています。
伝統的な男性用のシャツのことです。カミサとはスペイン語でシャツを意味します。伝統的なカミサは衰退していっているそうなのですが、一部地域では丈が長く袖が付いた巻頭衣タイプのものがまだ残っているのだとか。
ヨーロッパのジャケットに似た毛織の上着で、村の特徴を表す刺繍が施されています。
黒など自然な色の粗い毛製で、V字型に開いた襟の、ダルマティカ風の外衣です。腕は脇に開いた穴から出して着用するのですが、穴がないものもあります。
パンタロン
パンタロンは髪さと同じ布を用いて仕立てます。丈は着用者の下半身に合わせた長さの、極めてシンプルな形のズボンです。なお、現在では既成のズボンが着用されることが多くなっているのだとか。
ソブレパンタロン
防風や防寒のため、パンタロンの上に重ねて穿くためのズボンです。グアテマラのものはフェルト製で、カウボーイが乗馬の際に穿くズボンと同じ形をしています。
ポンチートとも称される、パンタロンの上から腰に巻く、長方形の布のことです。白や黒、茶の自然な色合いの家畜の毛製の布から仕立てます。
パンタロンの上から腰に巻いて結ぶ帯です。長さは両端が腿の途中まで垂れるほどにあります。幅は広く、刺繍を施したり縫取織(浮織物という手間暇がかかる織り方に、更に刺繍の要素を加えたもので、大変手間暇がかかっていました)の布を使ったりして、村ごとに独特の文様で飾ります。
日常的に使われているショルダーバッグで、使用者である男性自らが羊や山羊の毛を紡ぎ、棒編みで模様(幾何学模様や鹿にライオン、鳥などの動物模様)を編みこんで作ります。
革製のサンダルのような履物で、女性も使用します。
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