ネイティブアメリカン その②アパッチ族

 今回はアパッチ族の民族衣装についてです。アパッチ族はなんやかんや(詳しくはググってください)の末に1886年に降伏し、現在ではアリゾナ州、ニューメキシコ州、オクラホマ州の特別保留地で暮らしています。アパッチ族はかつては大変戦闘的な部族だったのだとか。アパッチという名称も、別のネイティブアメリカンの「敵」という言葉に由来しているのだそうです。よって、アパッチ族自身は自分たちをアパッチと呼びません。


 アパッチ族は北アメリカに居住していた、文化的に共通点のある六つの部族の総称です。また、彼らは前回のナバホ族と同じ祖から分かれた部族でもあります。なので、初期の服装はナバホ族のものと似通っていたでしょう。言葉も方言レベルの違いしかなく、互いに聞き取ることができるのだとか。

 アパッチ族の男性の衣服の歴史は三つに区別できるのですが、第一期はなめし皮が主な素材でした。19世紀初頭の第二期ではメキシコの衣服を着用し始め(アパッチ族はメキシコで略奪をしていました)、19世紀後半の第三期ではヨーロッパの要素が取り入れられました。では、以下で詳しく見ていきましょう。

 第一期は鹿やバッファローのなめし皮製(黄土色に着色されていました)のポンチョやシャツを着用し、その下に鹿皮製のレギンスを着用していたそうです。シャツは房飾りやビーズをあしらった紐(肩の上と腕の下に付けていた)で飾られていました。サボテンの棘やガラガラヘビ対策のため、長靴のようなタイプの皮製のモカシンも、ビーズ刺繍で飾られていました。

 が、服の材料でもある獲物が諸事情により減少し、時を同じくして商業用の布地が流入してきたため、布地が受け入れられるようになったのです。これには移動や戦争のため、毛皮をなめす時間がないというアパッチ族側の事情も関係していました。

 第二期では前述のようにメキシコの衣服を着用するようになったのですが、メキシコについても触れる予定はあるので、詳しくは後述ということにさせてください。ただ、この時期のアパッチ族男性は膝まで垂れる大きさの白い木綿の褌と木綿のズボンを穿き、その上から白い木綿のシャツを羽織っていたそうです。

 第三期では、アパッチ族とヨーロッパの衣服の特徴がミックスされ、暗い色のベストやカラフルな木綿のシャツに、白い木綿のズボンや上下、外套が着用されるようになりました。


 アパッチ族の女性は早期から、巻きつけるタイプのワンピースやスカートを着用していたそうです。ワンピースやスカートはしばしば彩色が施されていました。時にはこれらになめし皮製のポンチョや、獣の皮製のスカートやブラウスを合わせました。ブラウスは長い房飾りが袖と裾に付けられていました。19世紀になると、ヴィクトリア朝風のドレスから影響を受け。ゆったりとした襞のある、段切り替えのスカートと、同じくゆったりとしたブラウスの組み合わせ――キャンプ・ドレス(マザー・ハバードとも呼ばれます)が誕生しました。

 キャンプ・ドレスの衣服のヨークや(装飾や補強のために付けられる切り替え用の布のこと。切り替え部分を特徴としたスカートはヨークスカートと称される)、スカートの段の下端の部分の縁は帯状の布で飾られていました。アパッチ族の高齢の女性は現在でもキャンプ・ドレスを着用しているのだとか。また、より古い皮製の衣服をも所有している人もいるそうです。

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