中央アジア その③トルクメニスタン

 トルクメニスタンは


    カザフスタン| ウズベキスタン

    カスピ海 |トルクメニスタン

       イラン    |   アフガニスタン


 ↑のような位置に存在する国です。宗教的にはイスラームのスンナ派が大多数を占めています。位置関係から何となく察せられますが、トルクメニスタンの民族衣装にはウズベキスタンの民族衣装と共通する要素が多数あります。もっとも、若年層の間では洋装化が進んでいるんですけれどね。


 トルクメニスタンの民族衣装は、やはり平面的な仕立てになっております。男性の民族衣装も、上衣クイネク脚衣バラクを素肌に着用し、外出時には外衣チャパンを羽織る、となっております。あと、帯と帽子も身に付けます。

 上衣は筒型で長袖の衣服で、手織りの白い木綿や紬風の赤い絹から仕立てられたそうです。上衣の襟は肩か前の中心、もしくは右側を胸まで明けています。開いた部分は紐で閉じられ、更に周囲を組紐や刺繍で飾ります。

 脚衣は紐で結んで履く(上衣の裾をinしたりはしません)ゆったりとした、けれども裾に向かうにつれて細くなるズボンです。主に手織りの白い木綿で仕立てられているのですが、外出時や寒い時は同型だけど暗い色のジャンバールを重ねて穿いたそうです。

 外衣はウズベキスタンのものと名称も形も同じです。また、仕立て方(袷か単衣か綿入れか)や、素材や色柄によって様々な名で呼ばれるのも同じです。中でもエクタイという丈が短めの単衣の外衣はトルクメニスタン中で見られるそうです。他には、ラクダの毛に、羊のなめし皮から仕立てられたものもあります。中でも六か月の子羊の毛皮製のものは晴着として扱われているそうです。

 帯もまた形や素材に違いがあります。革製のケメルは銀の装飾が施された高級品です。布製のグシャクは兵児帯のようなものと方形のものがあります。グシャクはかつては花嫁が花婿に手作りのものを贈っていたのだとか。

 トルクメニスタンの男性にとって、最も身近な帽子は縁なし帽のタヒヤでしょう。このタヒヤ、なんと生後3,4日から死ぬまで被られるそうです。外出の際はタヒヤの上に羊毛製のテルペクを被ります。労働の際は丈が短いケルメンという帽子を被ったりするそうです。また、昔はターバンも使用されていました。

 履物は、靴底が柔らかな長靴・メシと、その上にカヴシという靴を穿きます。他にも爪先が尖った革靴のチョカイ、ロシア革命までは富裕層が履いていたという、乗馬用の踵が高い白い革製の長靴エジクがあります。


 次は女性の民族衣装について。女性は男性の服装に被衣とアクセサリーが足されたような感じです。よって以下では、被衣とアクセサリーを除いては、男性のものと違う部分だけを述べていきます。

 まず上衣は男性のものよりも丈が長くなっています。加えて低い立襟が付いていて、脇の下には大きく広い襠が入っているので動きやすくなってもいます。女性の上衣は主に手織りの紬風の絹から仕立てられていて、祭日や結婚式の際には新しいものを仕立てて着用するそうです。

 脚衣は、上衣の下になっていない部分は刺繍を施したり裏側に別の布を当てたりして、耐久性をアップさせます。上衣に隠れた部分は幅が広い襠が入っており、裾は蛇やサソリの侵入を防ぐため細くなっています。

 外衣チャブイトは赤地に黄色の縞柄の、手織りの紬風の絹から、袷で仕立てられます。この外衣は手を通して羽織るだけでなく、被衣としても利用できます。都市部の年配の女性は、被衣ではなく外衣を被っているそうです。

 被衣は部族によって素材もデザインも名称も異なります。が、ある部族では緻密に飾った(豊穣の象徴であるチューリップや羊の角、生命の木などの細かな模様が全体に施されていた)=仕立てるのに手間がかかる被衣よりも、より簡単なクルテという被衣が用いられるようになっていきました。クルテはチャブイトのように普通に着用することもできる被衣です。

 履物については、男性と同じです。ただかつては、裕福な女性は長靴を所持していたけれど、貧しい女性は一年の大半を素足で過ごしていたのだそうです。

 アクセサリーは、ウズベキスタンの女性同様、結婚後間もない間は全部で15kgにも達する大ぶりなアクセサリーを被衣の下に身に着けたそうです。もっとも、現代では小型化や軽量化(装着する数を少なくする)が進んでいるそうですが。それでも、結婚式では多くのアクセサリーで華やかに身を飾るのだそうです。

 また、赤子や幼児の衣服には魔から守る縦として、特に多くのアクセサリーが付けられます。肩には円形と円筒型のお守りを、背には銀貨や母の額飾りを、と。

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