コーカサス その③南コーカサス
今回は南コーカサスの民族衣装についてです。南コーカサスとは北はロシア、南はトルコとイラン、西は黒海、東はカスピ海に囲まれた地域。国で言えばアゼルバイジャン・アルメニア・ジョージアになります。
南コーカサスの衣服は、当然といえば当然なのですが北コーカサスのものと似通っています。例えば男性の衣服は、南コーカサスにおいては
そういう訳で、北コーカサスと共通するところは北コーカサスの回参照ということにして、まずは上着について紹介していきます。南コーカサスの男性の上着は膝丈で立襟のもので、前をボタンで留めて着用します。また、若年の場合は金属の飾り板付きの革ベルトを、年配の場合は皮帯を締めます。
上着は体形に沿った仕立てなのですが、ウエストの部分に切り替え(生地を途中で縫い合わせた際にできる線や、その技術のこと。 体型に合わせて立体的な構造にするためや、デザインの効果を高める目的で使用される)があり、裾は脚衣の上に垂れるようになっています。
素材は一般に手織りの木綿とサテンで、この二枚の生地を縫い合わせ、
外衣は、グルジアならばチョハ、あとは上流階級が着用していたカバというものがあります。チョハは北コーカサスのチェルケスカと同じ仕立てです。カバは袖山と肘の部分は縫われているものの他の部分は解放されているため、下に着用している上着が覗く仕立てになっております。また袖の幅が狭く、手覆いが付いているのが特徴です。
アルメニアの外衣は、東部のものはジョージアやアゼルバイジャンのものと似ています。西部のものはヴァン湖~黒海沿岸のアルメニア人のものと同じです。シャンピンクという外衣の上にエラクというチョッキを着用し、更に丈が短い上着・バチコンを前を留めずに着用し、幅広の帯を折りたたんだ状態で二回以上も巻き付けます。すると帯の深い襞がポケットの代わりになり、ハンカチや煙草入れ、財布などをしまえるようになるのです。帯の後ろには長いキセルやナイフ、短剣まで挿していたのだとか。
次は南コーカサスの女性の民族衣装についてです。もっとも、本では主にアゼルバイジャンの女性のものにしか言及されていなかったのですが。
アゼルバイジャンの女性の民族衣装は
アゼルバイジャンの女性の上着は、男性のものと同じくウエストで切り替えが入ります。加えて、タック(装飾として生地の端をつまんだり、畳んだりしてから縫ってできた襞のこと)やギャザーが入った
素材は多くは毛織物なのですが、裕福な家庭ではビロードや錦といった高価な布を用い、明けた胸元もテンの毛皮で縁取り、金や銀のボタンを付けたそうです。
ベルトは留金付きで、革やビロードから作られます。アクセサリーはネックレスや金や銀製の透かし細工ブレスレット、銀のブローチに指輪などです。ネックレスは大麦の粒の形の金のビーズや金貨、真珠、珊瑚、カーネリアンなどから作られます。指輪は、ターコイズやルビー、カーネリアンなどの石で飾られました。こういったアクセアサリーは、ただ身に着けるだけでなく、何枚ものスカーフでできたターバンのような被り物を留める役割も担っていました。
被り物といえば、ジョージアの都市部の女性は、かつては帽子によって社会的地位を見分けられたそうです。正確には、帽子の飾りの宝石のあるなしによって。この宝石は、結婚式の際に初めて帽子の中央に付けたのですが、夫に死なれると宝石を外し黒いヴェールを被り、一年たって喪が明けるとヴェールは白くなるけれど宝石は付けないままだったのだとか。
地域特有のものには、アルメニア西部の前掛け・ゴクノツもありますゴクノツは紐だけもしくは胸覆い付きの前掛けで、上衣や上着の上に着用しました。ゴクノツは更紗やサテン、もしくは金の刺繍や絨毯を織る際の技術を用いて織ったビロードや毛織物から作られたそうです。更に紐には<~の喜びに>という文字が織り込まれていたそうですから、地方によっては婚礼衣装の一部でもあった(そのため、
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