シベリア その⑩コリャーク人他

 今回はまずはコリャーク人についてです。コリャーク人はカムチャッカ半島極北部に居住している民族です。前回述べたチュクチ人とは文化的にも近い関係にあり、次に述べるイテリメン人ともチュクチ人ほどでなくとも類縁関係にあるのだとか。

 コリャーク人は沿岸に定住し漁業を営むグループと、内陸でトナカイの遊牧を行うグループの二つに分かれています。言語はコリャーク語とロシア語を操り、宗教はシャーマニズムと正教を信仰しています。

 衣服については、チュクチ人の前閉型の外衣クフリャンカを、チュクチ人と同じように身につけるのだとか。また毛皮をなめす際は、魚卵を内側に塗り付け裏返して足で踏む。そうして魚卵を掻き落とすという作業を柔らかくなるまで繰り返すそうです。


 次はイテリメン人についてです。イテリメン人もまたカムチャッカ半島で暮らしています。言語はイテリメン語とロシア語を操り、宗教についてはシャーマニズムと正教を信仰しています。イテリメン人は主に漁撈で生計を立てつつ、冬と夏で居住地を変えるそうです。衣服については、イテリメン人もまたクフリャンカを身に着けます。


 次は二ヴフ人についてです。二ヴフ人はかつてはギリヤークとも呼ばれていた、樺太やアムール川流域に住まう民族です。二ヴフ人は歴史的にはアイヌ民族やツングース・満州系の民族と深く関わってきました。けれども系統はアイヌ民族やツングース・満州系の民族、モンゴル系民族とは異なっているのだとか。使用言語は二ヴフ語、ロシア語、日本語。宗教はシャーマニズムと正教を信仰しています。

 衣服については、膝までの丈がある左衽のシャツとズボン/スカート、そしてシャツのズボンの下に着用する上下の肌着が基本です。この肌着は青や白、灰色の毛織物製で、夏など温かい時は肌着のみで過ごすのだとか。また、雨や直射日光を避けるべくヒブハクを被り、主にアザラシの毛皮製の靴を履きます。アザラシの毛皮は衣服に利用されることもあります。

 他の衣服には寒い時用の犬の毛皮の外套や、女性が着用する膝下までの丈の魚の皮製のシャツがあります。

 二ヴフ人はもちろん、以下の民族も資産によって使用する衣服の材料には違いがありました。一般家庭であれば魚の皮や毛皮から衣服を仕立てたのですが、裕福な家庭であれば中国の絹やロシア製の布を用いたのです。ただ、魚の皮は丈夫で防水性に優れているものの、現在は使用されていないとのことでした。魚の皮はかつては衣服だけでなく、帽子や靴に袋の材料として用いられていたそうなのですが。


 次はウデヘ人についてです。ウデヘ人は主にロシアの沿海州シホテアリニ山脈周辺で暮らしているツングース系の民族です。かつては森林動物を追って暮らしていたのだとか。使用言語はウデヘ語とロシア語ですが、ウデヘ語を母語としているのは現在では人口の四分の一しかいません。宗教はアニミズムと正教を信仰しています。衣服は魚や動物の皮、中国製の織物から、男女ともにだいたい同じ型のものを仕立てました。


 次はオロチ人についてです。オロチ人はハバロフスク地方で暮らしているツングース系の民族です。言語はオロチ語を操り、シャーマニズムを信仰しています。オロチ人は狩猟民族なので、衣服の材料は主に毛皮です。もっとも、沿岸部ではアザラシの毛皮も使用するし、魚の皮を利用したりもしていました。夏は織物からも服を仕立てます。衣服の型はウデヘ人と同様だいたい男女同型です。


 最後はウリチ人です。ウリチ人はハバロフスク地方ウリチ地区で暮らしているツングース系の民族です。使用言語はウリチ語、ロシア語。宗教はシャーマニズムと正教を信仰しています。主な生業は漁撈で、チョウザメやコイを捕まえているそうです。狩猟も行っていますがあくまで二次的な生業なのだとか。他に、ロシア化するに伴ってジャガイモを中心とした農業や家畜の飼育も行うようになったそうです。

 衣服は夏用の物は魚の皮や織物から仕立て、冬用の毛皮外套は犬やヘラジカの毛皮から仕立てたました。


 

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