シベリア その⑦ヤクート人、エヴェン人
今回はまずはヤクート人(自称はサハ人)の民族衣装についてです。
ヤクート人は主に極東連邦管区のサハ共和国で暮らしています。なお、サハ共和国は世界最大の地方行政単位であり、日本の約八倍の面積があります。居住している民族もヤクート人、ロシア人の他にエヴェンキ人、ユカギール人、チュクチ人など様々です。
ヤクート人の言語はサハ語(ヤクート語)で、宗教は正教とシャーマニズムを信仰しています。現代のヤクート人の生計を立てる手段も含めての生活スタイルは二つに分かれています。北部ではトナカイを飼育したり狩猟採集したりしつつ半遊牧生活を送り、南部では馬や牛の畜産が行われているそうです。ところで、今回も名称の表記は某百科事典に倣ったのですが、どうして民族の名称だけ「ヤクート」なんでしょうね?
なにはともあれ、ヤクート人は男女共に布製のシャツとズボンと肌着と、前開型の毛皮の外衣ソンを着用します。北部ではアノラック(イヌイットのアウターウェア)のような毛皮の服も着用されるそうです。また、帽子や靴も毛皮製になります。履物については、夏はトナカイの脛から作った毛皮の長靴の底に干し草を敷いて履き、それ以外の季節では毛織物かフェルトの長い靴下の上に同じ長靴を履きます。
ヤクート人の民族衣装には上記の物以外に、女性の晴れ着用外衣サニャフ/サンギャフがあります。サニャフ/サンギャフはアップリケや刺繍、下げ飾りで飾られ、後ろの中心にスリットが入った衣服です。袖付(脇で袖と身頃を縫い合わせた部分のこと)が広く、袖山(身頃と接ぎ合わせる肩の山全体)にタック(生地を摘まんで縫って出来たひだのこと)が入ったタックスリーブであるという特徴もあります。
晴着の他に女性の祭日用の衣服もあります。ヤクート人の女性の祭日用の衣服は必ず冬用の毛皮のコートもしくは胴着を着用し、毛皮製の高さがある帽子と金属のアクセサリーを合わせるそうです。アクセサリーにはネックレス、胸や背中まで垂れる鎖が付いた頭飾り、組になっているペンダント、幅広の腕輪、大きなイヤリング、指輪、下げ飾りつきのベルトがあります。
次はエヴェン人についてです。エヴェン人(かなり紛らわしいですが前述「エヴェンキ人」とは別の民族になります)もまた約半数がサハ共和国で暮らしていて、サハ共和国のエヴェン人が話す日常語はサハ語なのだそうです。ただ、サハ共和国で暮らしていないもう半数の、東シベリアのマガダン州やカムチャツカ地方で暮らすエヴェン人はエヴェン語を日常語としているのだとか。宗教はアニミズムと正教を信仰しているそうですが、エヴェン人は北方先住民では最も正教化されているとも言われています。
ちなみにエヴェン人とエヴェンキ人の居住区は隣接しているだけでなく、二つの民族には多数の共通点があるのだとか。そのためなのか、昔はエヴェン人とエヴェンキ人がひとまとめにされていたそうです。なお民族衣装については、毛皮製の外衣テトィには袖に手袋がついていて、前身頃の重なる部分を胸の位置で紐で結んで着用する。またテトィの着用時は必ず胸当ても付けるということしか分かりませんでした。
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