シベリア その⑤ブリヤート人

 今回はブリヤート人の民族衣装についてです。ブリヤート人はロシアを構成する共和国の一つでありバイカル湖南東部に位置するブリヤート共和国やその他のロシア各地、またモンゴルや中国で暮らしています。

 ブリヤート人はモンゴル系の民族ですが、西に行くほどロシア人との混血が進んでいるのだとか。また文化的にも、西に行くほどロシア化しているそうです。宗教も、シャーマニズムとチベット仏教の他、正教を信仰していたり。ま、今回は東の方のブリヤート人の民族衣装について述べるということで!


 では、まずは男性の民族衣装について。

 ブリヤートの男性の民族衣装は肌着+裏地のある上着+上衣+幅広の脚衣+長衣+帯+毛皮の帽子(クロテン、鹿など)+黒革の長靴となっております。

 もっとも、肌着については貧しい人は着用せずにフェルトか毛皮を直接来ていたようです。上着についても、夏用と冬用の二つがあり、夏用はロシア製の綿布や毛織物、中国製の絹から仕立て、毛織物やビロードで縁取りします。一方冬用は毛皮から仕立てていたそうです。

 長衣は立襟で、前身頃を左から右に重ね合わせ、右肩から右脇で留めます。すると右手で懐から物を取り出せるようになるのですね。また、帯には火打石とナイフを吊るすのですが、こういう風に物を吊るすのは蒙古族の回で述べたモンゴルの男性と同じですね。こういうところからも、ブリヤート人がモンゴル系というのが分かる気がしますね。


 次は女性の場合についです。

 ブリヤートの女性の民族衣装は、男性の場合から長衣を引き、代わりに袖なしのベストを足した感じです。なお、ブリヤートの女性は天に髪を、地に背中を見せてはならないと言われていたので、帽子はマストアイテムだったそうです。

 あと、ブリヤートの女性は、長い耳飾り、ブレスレット、腕輪、胸飾りなどのアクセサリーを身に付けます。髪形は、既婚女性ならば二本の、未婚ならば幾筋もの三つ編みしにて珊瑚の玉で繋げます。祭りの日には更に、ビーズ玉で飾ったビロードの鉢巻きを締めたそうです。

 

 さて。本にはブリヤートの巫者の服装についても述べられていたので、ミルチャ・エリアーデ著「シャーマニズム」も参考にさらりと、ほんとにさらりと述べていきます。


 まず、ブリヤートのシャーマンにとっても馬は重要なものです。なぜなら、シャーマンは魂の旅の最中、馬に乗って移動するからです。もっともこの馬は牧場とか競馬場にいる類の生きた馬ではありませんが。

 たとえばある女シャーマンは先端が馬の頭の形をした、鈴がたくさんついた杖「馬杖」を二本持っていたそうです。この「馬杖」の他、太鼓も異界へ旅をするシャーマンの移動の道具になります。ブリヤートではシャーマンの太鼓は「シャーマンの馬」と呼ばれています。シャーマンが太鼓を叩くとき、シャーマンは「馬」に乗って天上に行くとされているのです。

 

 で、他にブリヤートのシャーマンにとって必要なものは


毛皮

・白シャーマン(良い霊に保護されるシャーマン)ならば白の、黒シャーマンならば黒の毛皮です。そして、馬や鳥その他の金属の像を沢山縫い付けます。

帽子

・山猫のような形で、五回目の祓浄はらいきよめの後、両端が曲がった(二本の角を表している)鉄冑を受け取ったそうです。


 になります。ちなみに馬杖は最初のイニシエーションの前夜に樺の樹から切り取られ拵えられたものと、五回目のイニシエーションの後に受け取った鉄製で多くの鈴で飾られたものの二種類があります。あとは、皮製や木製、金属製の仮面や、十二の動物が描かれた金属製の鏡を身に付けたりすることもあったようです。


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