ヨーロッパ その⑯ポルトガル
今回はポルトガルの民族衣装についてです。ぶっちゃけ現代日本人に「ポルトガルとはどんな国か?」と尋ねても、大抵は「スペインの隣」とか「イベリア半島の端っこ」以上の答えは返ってこないでしょう。ですが大航海時代はスペインと覇を競う国であり、日本もその影響を大きく受けました。カステラとか!
ポルトガルの民族衣装で最も特徴的なものとしては、被り物が挙げられます。男性は普段はつばが広い帽子か、ストッキングキャップ(詳しくはググってください)を被ります。女性は、カチーフ(主に頭を覆うために用いられる、正方形の大きな布)を頭から垂らすか、首に結ぶかした上で、つばがある帽子を被るのだそうです。
ポルトガルの帽子には上述のようにいくつか種類があるのですが、「シャペイラン」という帽子は最も特徴的な帽子として知られています。シャペイランは農民が祭りの日に被る帽子です。
何が特徴的なのかというと、まずは時に直径1m以上にもなるという長いつばでしょう。シャペイランには縁飾りやフェルト製の留め紐も付けられています。なお、留め紐には様々な色のポンポンも付けられていますから、つば以外にもインパクトがあります。
他、アゾレス諸島(大西洋の真ん中に位置する、ポルトガル領の島のこと)のサンミゲル島(アゾレス諸島最大の島でもあります)には、「カラプサ」というユニークな帽子が受け継がれています。カラプサは表地は青、裏地は赤い布から作られています。それだけでも目を引くデザインですが、帽子の前には月の模様が入れられ、後ろには「ラプソ」という尻尾のような飾りが付けられているのです。このラプソは襟首まで垂れる長さであるため、顎の下で留め金で留め、締め付けることもできます。
ちなみに、ポルトガルには頭の上に荷物を乗せて運ぶ習慣があるそうです。その荷物が軽い場合はそのまま帽子の上に乗せます。重い荷物の場合も帽子の上に乗せることに変わりはないのですが、ただし帽子と頭の間に、荷物の台として布をぐるぐる巻きにしたものを挟むそうです。
以下では被り物以外のポルトガルの民族衣装について述べていきます。もちろん居住する地区や職業によっても様々なタイプに分かれるのですが、ポルトガルの男性の民族衣装は一般にシャツ+ボタンで留めるベスト+ズボン+幅広の飾り帯「ファハ」+脚絆+帽子で成り立っています。
ズボンは、伝統的なタイプは半ズボンですが、近年では長ズボンも登場しているそうです。また、北部の農業や牧畜に従事する人は冬の防寒対策として、羊皮のジャケットにオーバーズボン、羊毛製の大きな外套やフード付きのマントを着用するのだとか。脚絆については、祭日の際は靴下を代わりに穿くところや、脚絆を付けずにオーバーズボンと同色もしくは白のアンダーズボンを膝下から露出させて穿く地域もあります。
なお、ポルトガルの祭日や盛装の民族衣装は男女ともに白が基調なのですが、男性の場合は白い亜麻布のシャツ+房が付いた深紅のファハ+半ズボン+ベスト+シャペイランとなります。この時のベストはセミダブルの打ち合わせで下襟がついた、濃い茶色で、アクセントとしてボタン飾りも付けられています。すると、「シャツとズボンのシンプルさ」と「シャペイランとベストの装飾性」と、「白と茶色というどちらかというと地味な色」と「深紅」という対比が生じ、極めて洗練された装いになるのですね。
次は女性の民族衣装について。ポルトガルの女性の民族衣装は基本的に長いシュミーズ+スカート+ジャケットor丈が短いブラウス+飾りのあるエプロン+カチーフ+時々麦藁帽子となっています。地方によって色やデザインが異なっていても、この構成要素は変わりません。もっとも、北部では防寒のため、羊毛製の被り物「カプシャ」を肩の上に羽織ることもあるようですが。
また、南部の平原地帯で働く女性たちは、ピン付きのスカートを履いているそうです。このスカートは畑のほこりが付着するのを防ぐだけでなく、ピンを留めるとズボンになるという優れものです。まさしく生活の知恵ですね。
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