ヨーロッパ その⑮スペイン
今回はスペインの民族衣装についてです。スペインは歴史や気候のためか、他のヨーロッパの諸国とはまた異なる魅力を持つ国です。
スペインもまた、各地域でそれぞれ特色ある民族衣装が受け継がれています。
男性の場合は一般的に、大きな立襟で長袖の白いシャツ+小さな折り返しがある、丈が短いベスト+ウール製の幅広の腰帯+ラシャもしくは革製で膝下までの、筒形のぴったりした半ズボン+ゲートル(地域によっては長い靴下)となっています。
腰帯は、ベストのボタンを留めない場合は一巻き、ボタンを留める場合は幾重にも巻くそうです。ズボンもまた(おそらくは裾の部分に)ボタンがつけられているけれど、膝を自由に動かすため留めることはしないのだとか。だからおそらくズボンのボタンは、装飾のために付けられているのでしょうまた、ズボンの裾には時に黒い布が縫い付けられてもいるそうですが、これもまた装飾としてでしょうね。なお、ズボンは地域と職業によっては普段は長ズボンを着用するところもあるようですが、そういった地域でも半ズボンこそが伝統的とされているのだとか。
ゲートルもまた小さなボタンを沢山付けた革製のものと、玉総(先端を玉のように丸くした房のこと)が付けられたラシャ製のものに分かれるそうです。スペインの男性はボタンが好きなんですね(笑)
ちなみに、上記の典型的なスタイルにジャケットと帽子を加えると北部と北西部の民族衣装になるそうです。このジャケットもまた立襟で、幅が広めの折り返しとアウトポケット(上から貼り付けたようなタイプのポケット)がついています。
帽子はモンテロという名前で、かつては狩猟の際に被るものだったそうです。モンテロは地域によって微妙に形が違っています(つばが折り返されていたり、下向きだったりなど)。けれど、ラシャ製であること、円錐形であること、頂上と中ほどに房飾りが付けられていること、ビロード製の幅が広い三角形の折り返しが付けられていることは共通しているそうです。
他、労働の際は白い亜麻布から仕立てられたズボンを、半ズボンの下に着用したりするそうです。あとは、「マンタ」というラシャ製の布? をトーガのように肩にかけ、前で交差させて着用するそうなのですが、なぜ着用するかについての記述はありませんでした。
次はスペインの女性の民族衣装について。スペインの女性の民族衣装の最大の特徴は「マンティリア」というマントのようなベールになります。マンティリアの起源はイベリア半島がイスラームに支配されていた頃にあります。キリスト教徒はやがて領土を取り戻したものの、元来はイスラームの女性の義務であったベールは、欠かせないおしゃれの要素に変じ、スペインに残ったのです。
マンティリアは髪をまとめてアップにしてから、その上にかけて着用します。その際、頭頂には薔薇やカーネーションなどを乗せることで、マンティリアを留めます。
マンティリアの材質は、シルクのレース、フランネル(柔らかくて軽い毛織物のこと)、ビロード、タフタ(密に平織された薄手の布のこと。本来は絹で織られたものを指していたけれど、後に他の素材からも作られるようになりました)、ウール、薄いリネンなど様々です。形も同様に長方形、正方形、菱形、楕円形、三角形など様々。施される装飾も刺繍や縁取り、リボンを付けるなどこれまた様々です。しかし、礼拝用は白、日常用は基本的に黒という色使いは共通なのだとか。
他の構成要素は、ヨーロッパの他の国のものと大差はありません。フラメンコの衣装のような、フリルが何段も重ねられた華やかで目を引くスカートもありはしますが、それだってスペイン全土でみられるものではありません。スペインの民族衣装は他国に比しても地域による差が大きいのも、マンティリア以外のこれといった共通要素の無さの要因かもしれません。ただ、スペインの女性の民族衣装はいずれも材質や色使いが豊かで豪華です。もしかしたらそれこそがスペインの女性の民族衣装に共通する特徴なのかもしれません。
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