ヨーロッパ その⑭フランス

 今回はフランスの民族衣装についてです。フランスがどんな国かという紹介は特に必要はないと思うので、以下で早速本題に入っていきますね。と、言いつつも皆さんがフランスの服と聞いてイメージするようなキラキラでひらひらの宮廷衣装ではなく、一般民衆が受け継いできた民族衣装について述べていくことになるのですが。


 では、まずは男性の民族衣装について。フランスの男性の民族衣装は、もちろん地方差はあるものの概ね以下の要素で成り立っています。

 

 ブルーズ

 ・亜麻布製の襞のあるスモック風の上衣。シャツの原型でもあります。かつてはパリの特定の職(石工や担ぎ人夫など)に就いている人が着用していたそうです。

 上着とチョッキ

 ・これらは上記ブルーズも併せて、もともとは二枚のチュニックだったそうです。それが13世紀から14世紀の胴着の複雑化に伴い、上側は上着やチョッキとなり、下側はブルーズとなったのだとか。

 脚衣

 ・もともとは丈が長かったチュニックは、14世紀半ばに膝丈になりました。すると当然下半身を覆う衣服が必要になったのです。かつてのフランスでは半ズボンを穿く貴族に対して、民衆は長ズボンを穿いていました。脚絆を巻く地域も多くあります。

 サッシュ風の幅広のベルト

 ・一部地域で用いられるものです。


 次は女性の民族衣装について。フランスの女性の民族衣装は、19世紀までは各地で細部に違いはあれど同じ型のものが着用されていたそうです。その構成要素は以下のようになっています。


 被り物、頭飾り

 ・ボンネット、ぴったりしたキャプリーヌ(つばが広い帽子)、コアフ(小さな頭巾に長いレースのリボンを縫い付けたもの)など。日差しが強い南フランスでは、麦藁帽子を被るところもあります。

 シャツ

 ・亜麻布製です。

 胴着コルサージュ、キュラコ(短い上着)

 ・これまた亜麻布製。防寒対策として、キルトのような綿入りのものもあったそうです。そんな手間暇かけるよりも、最初っからウールから仕立てればよいじゃないか……という気もしてきますが、フランスにおいて胴着にウールを頻繁に利用するようになったのは現代になってからなのだとか。

 コルセット

 ・ウエストまで紐で締める短い胴着のことです。冬は内側に毛皮が付けられることもあったのだとか。

 フィッシュ

 ・三角形の布、もしくはレースの肩掛けのことです。現代にも残るフィッシュはマリー・アントワネットの時代の宮廷での習慣の名残と言われています。

 ペティコート

 ・一枚だけだったり、数枚重ねたりします。

 スカート、エプロン

 ・スカートは粗いラシャ地で、ペティコートの上に穿きます。エプロンはスカートの上に着けます。

 履物

 ・一部地域には先が跳ね上がった目を引く形の木靴が受け継がれています。


 もっとも、技術の発展により既製品が浸透してくると、色々な違いが生じたのだそうですが。

 またブルターニュ地方は、長く(1532年まで)独立国であり、フランスの一部となった後もフランス革命まではかなりの特権を得ていたという事情から、独特の文化が残っています。例えばブルターニュ語(ブルトン語とも)がそうです。そのため民族衣装も、ブルターニュ地方は他の地域と比較すると独特な趣があります。

 

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