ヨーロッパ その⑦ルーマニア

 今回はルーマニアの民族衣装です。ルーマニアは各地方にそれぞれの特色豊かな民族衣装があります。また、地方の結婚式では住民が協力しあって婚礼衣装を準備する(糸を紡ぐ段階から、布にして、仕立て、刺繍をするまで)習慣が、何世紀も受け継がれているそうです。ルーマニアの民族衣装の特徴は凝った刺繍と、同じく凝った織の布なのだそうなので、それぞれの地域でさまざまに魅力ある婚礼衣装が受け継がれているのでしょう。


 さて、以下でまずは男性の民族衣装について説明していきますね。

 ルーマニアの男性の民族衣装は基本的にシャツ、長袖のジャケット、袖なしのベスト、ベルト、長ズボン、履物、オーバーコート(外套)、帽子から成り立っているそうです。ただし、地域もしくは季節によって上記のうちいずれかを用いなかったり、はたまた素材や装飾、着用法に違いがあります。たとえば、シャツをズボンにインするかしないか、とか。他、脚絆を用いる地域もあったりします。

 ズボンは、ゆったり型とぴったり型の二つのタイプに分かれるそうです。南部と東部はぴったり型で長め、北部と西部ではゆったり型で短めになるのだとか。ただし、盛装の場合はぴったり型が一般的なところが多いようです。素材については、夏はリネンを、冬はウールを用いるのですが、これはもちろん暑さ・寒さ対策ですね。

 上記のように地方や季節によってタイプが異なるのはズボンだけではありません。男性用のジャケットやベストもまた、南部では丈が長く、北部や西部では丈が短い傾向があるようです。ただ、むろん例外も存在するのですが。


 お次は女性の民族衣装について。ルーマニアの女性の民族衣装の構成要素を、男性の場合同様に列挙しますと、以下のようになります。ブラウスorシュミーズ、スカート、ベスト、エプロン、該当、肩掛け、帽子、ベルトです。地域によっては、冬はズボンを着用することもあるようです。そのズボンは厚いフェルト製だそうなので、防寒対策の一種でしょう。

 スカートは男性のズボン同様にタイプが色々あり、たとえば北部のある地域では細身の巻きスカート、西部のある地域ではギャザースカートが用いられているそうです。また、冬は毛皮製のスカートを着用するところもあるのだとか。ルーマニアの女性の民族衣装は、ブラウスやエプロンにも地域によってさまざまな特色があって読むだけでもうっとりしてしまうのですが、(これは男性の場合も同じですが)特徴がありすぎてまとめるのは難しいです。というわけで皆さん、ぜひ「ルーマニア 民族衣装」で調べてみましょう!


 とはいえ、このままで終わるのは文字数的に寂しいので、今回は私が亀の歩みで習得している日本刺繍の技法の一つについて述べていきます。

 皆さんは刺繍、特に着物にされているような日本刺繍というと面を埋めるように糸を進めていくものを連想すると思われるでしょう。しかし、そうではない技法もあります。菅ぬいという、金糸や銀糸などを別の細い糸で留める技法がそれです。


 ちりめんなどの布は、断面を拡大すると


 _ ┌┐_┌┐_┌┐_┌┐_┌┐_┌┐_┌┐_┌┐_


 というようになっています。菅ぬいはその「_」の部分に糸を留めるのです。すると地の布の色が透けるような感じになるため、面を埋めるように糸を渡すのとはまた違う美しさが生まれるのですね。


 

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