アフリカ その③カメルーン
今回は中央アフリカの国(位置的に、西アフリカの国として数えられることも)、カメルーンの、特に北部の民族衣装についてです。
現在のカメルーンは大統領制の国ですが、275以上にも上る民族集団ごとに王を戴くという社会でもあります。同時に歴史的には、塩金交易(西アフリカで産出される金と、サハラ砂漠で採れる塩を交換を目的とした、アラブ人による交易)に伴って齎されたイスラム教の影響を色濃く受けました。現在でもカメルーン人口の30%はムスリムです。イスラム教は裸族社会であった西アフリカで衣服が用いられるようになったことに関わっている、という説もあるようです。
ちなみにこれは全くの余談ですが、アフリカの民族衣装で良く登場する色鮮やかなガラスのビーズは十七世紀にヨーロッパからもたらされたそうです。そうしてビーズと交換にダイヤモンドやエメラルド、極楽鳥や奴隷を輸出していたのだとか。
前回のスワヒリ地域と同様に、西アフリカにおいても布や衣服は高価なものでした。かつては貫頭衣一枚が奴隷一人、あるいは牛一頭と同じ価値を有していたそうです。もっとも、奴隷といっても性別や年齢、健康状態や容姿、身に着けた技術によって値段が左右されるでしょう。牛も、性別や年齢、状態によって値段が左右されうるでしょう。だから、服一枚が奴隷一人、牛一頭と等しかったという情報だけでは物足りない感じがありますね。
何はともあれ、カメルーンにおいては現在でもラマダーンの終わりには王が家臣に衣服を配る慣習が残っているのだとか。またカメルーン北部には、王への敬意を示すため王宮の前を行き来する場合は靴を脱いで裸足にならなければならないとか、上着を脱がなければならないという慣習があるそうです。
北カメルーンの男性の衣服として真っ先に挙げられるのは貫頭衣です。これは他のイスラーム圏にも共通しています。北カメルーンでは衣服は市場の仕立屋を頼ることも多く、その場合は襟元や袖に手製の精巧な刺繍が施されるそうです。
色は特に決まりはありませんが、ラマダーンの最中は白い貫頭衣が着用されるそうです。が、伝統的な藍染の生地が用いられるタイプのものもあります。それが、大人の正装であるガーレウォルやレッピウォル、ジャンガーンデです。これらは幅が細い綿布を繋ぎ合わせた、袖が縫い合わされたゆったりとした衣服です。ただ、男児の衣服の場合は袖を縫い合わせず、ポンチョのような感じに仕立てられるそうです。
カメルーン北部の女性は、南部の女性に比べて身体に密着した服を着用する傾向があるそうです。カメルーン北部の女性の衣服はスカーフ、胴巻き、腰巻及び腰巻の上に羽織られるショールによって成り立っています。ただし左記は成人女性の場合で、子供の場合はスカーフとショールは無しになっているそうです。ただ、大人の場合も農作業などの労働の場合はショールや胴巻きを脱ぐことも。なお、柄は統一することが多いそうです。
これにてアフリカ編は終わり。次回からヨーロッパ編に入ります。
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