西アジア その⑥クウェート

 今回はクウェートの民族衣装について述べていきます。

 クウェートは国土の大部分が砂漠で占められています。そして砂漠は、気温の気温の日較差が大きい。要するに昼は耐えがたいほど熱く、夜は寒いのです。しかもクウェートは他の一般的な砂漠地帯とは異なり、季節風の影響により半年ほど雨が降らないのに湿度が高い時期があるのだとか。クウェートの民族衣装はそんな暑さと寒さに対応するものになっています。ついでに、砂漠ではお約束の砂嵐や風の対策も忘れててはなりません。いやはや、大変ですね。


 クウェートの男性の民族衣装には、以下のようなものがあります。


ガフィア

・網状の布で作られた、頭にぴったりと被る碗型の帽子。労働者の方は、このガフィアのみを被ることもあるそうです。


ゴトラ

・ガフィアの上に被る130cm×123cmの長方形の白い布で、イラクの回で述べたクーフィーヤと同じものです。三角形に畳んで対角線が額にくるように被ります。二つの端には小さな房飾り(装飾効果の他、布の端がほつれさせないようにするという意味もあります)が付けられています。


アカール

・ゴトラの上につける、羊毛製の黒く太い紐のことです。要するに、イラクの回で述べたイカールと同じものでしょう。クウェートのアカールは後ろに房がついた輪が用いられることもあるようです。


ディシュダーシャ

・こちらもイラクの回で述べた衣服ですので、詳しくはイラクの回参照です。ただ、クウェートのディシュダーシャは襟に台襟(襟を美しく見せるためには必須の部位で、首回りを立体的に見せる効果がある)が付けられていたり、開いていたり、縁どりがされていたり、と色々なタイプがあるようです。色は、灰色や茶色、ベージュに濃い青や濃い緑など。人によっては縞が入ったものを着用することもあるそうです。


ビシュト

・ディシュダーシャの上に着用する、カフタンのような型の無地のガウンです。ウール製で、色は黒や濃い茶色、薄茶色、灰色などで、無地。襟ぐりから前の開いた部分と袖口に金の刺繍の縁飾りが付けられていて、肩と腕の境界線の部分には金モールの線が入れられています。

・裾にあたる袋状の部分に手を通す穴が開けられており、着物のように前を合わせたり(右前でも左前でもどちらでもよい)、はたまた前を開けたまま着用します。着方によって襞の流れが変わるため、多種多様な魅力が生じる衣服です。


ナール

・鼻緒がある皮のサンダルです。


 お次は女性の民族衣装について。

 クウェートの女性の民族衣装には、ソーブという丈が長いチュニックのような衣服があります。そしてこのソーブは「Ⅰ型」と「Ⅱ型」に分けられます。


ソーブⅠ型

・男性のディシュダーシャの同じような型ですが、衿がありません。また色は赤、薔薇色、オレンジ、ブルーなどの鮮やかなものを用い、しかも襟ぐりや袖にスパンコールを用いて星型の刺繍が施される(襟や袖の周りを、縁取りのようにスパンコールで刺繍することも)ので、見た目はかなり華やかです。

・また、落ち付いた緑の繻子の地に刺繍を施した布を、襞がたっぷり入ったスカートのようになるようウエストで継いだタイプもあるそうです。


ソーブⅡ型

・その名に反してソーブⅠ型とは似て異なる、布を縫い合わせてほとんど方形とした、特徴的な形の貫頭衣です。両脇は下側を縫い合わせるのみで、男性のビシュトには似た形をしていて、ビシュト同様に着こなしによって襞の流れと形状が変化します。なお、左側の袖に該当する部分を肩から持ち上げ、ヴェールのように頭に被る着方もあります。

・スパンコールを多く用いて華やかな刺繍が施されているのはⅠ型と同じなのですが、Ⅱ型の場合は黒いレース地に襟ぐりを中心とし、赤や緑、金のスパンコールを用いて刺繍をします。特に緑はスパンコール刺繍には欠かせない色なのだそうです。


ブックナッグ

・晴着の際に用いられる、古式な飾り物です。結婚式などの際には、更に金のアクセサリーを用いたりします。


 他、クウェートの女性もアバヤを着用します。

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