西アジア その④アフガニスタン

 今回はアフガニスタンの民族衣装について解説していきます。まずは、男性の民族衣装について。

 男性の基本的な服装は、ペロン・トンボン(ペロネトンボンとも)と称されているそうです。ペロン・トンボンはペロン(上衣)+トンボン(下衣)で成り立っています。極めて明快な足し算ですね。アフガニスタンの男性はペロン・トンボンだけでなく、ベストが欠かせません。

 ペロンとトンボンはゆったりとした直線裁ちの衣服で、必ず同じ布で作られます。色は白が多いのですが、ベージュや茶色、オリーブ色、くすんだ青灰色布も用いられるそうです。なお、柄は入らないのだとか。そもそもペロンもトンボンも装飾がほとんど施されないのだとか。材質は羊毛製のものが多いそうです。


 ペロンはポロシャツの衿、もしくは衿の折り返し部分を取り、丈を膝までのばし、更に動きやすいように腰のあたりまでスリットをいれたような感じの衣服です。トンボンはこれまでの西アジアのズボンの例にもれずゆったりとした、股の付け根からウエストの上端までが長いズボンです。胴回りもまた非常にゆったりしているのですが、回した腰紐を結んで着用するのでしょう。

 アフガニスタンの男性はペロン、トンボン、ベストの他に以下のような衣服を使用します。


 チャパン(外衣)

 ・着物のような感じのコート。寒い時期には綿を入れて、どてらのように着用します。普段着は木綿製の縞柄のものが定番ですが、正装用であれば絹で仕立てるそうです。

 ・チャパンの袖は腕よりも長くなっています。また、袖を通さず肩で着るのが粋だとされているそうです。


 チャーダル

 ・木綿や羊毛製の大きな布で、日除けや砂塵避け、はたまたショールやコートの代わりとしても使用できます。


ラングイータ(被り物)

 ・要するにターバンのことで、端を左肩に数十センチ垂らして着用します。砂塵が吹き荒れる中ではマスクとして、寒ければマフラーとして使用できます。


 お次は女性の衣服について。

 アフガニスタン女性の服装の基本形はゼロペロン(上衣)+トンボン(下衣)となってます。このうちトンボンは男性のものと全く同じです。ゼロペロンは胸などに刺繍があるワンピース型の、ハイウエストで切り替える衣服になります。なお、皆さんご存じかもしれませんがアフガニスタンの女性はこれらの上にブルカ(外衣チャドル・チャドリとも呼ばれているようです)を着用します。

 アフガニスタンのブルカは目の部分に網目状の布が配されている他は、全身すっぽり覆います。背中にはいっぱいにプリーツが寄せられています。

 ブルカは着ている女性は外の光景をうっすら確認できるけれど、端から見たら着用者の顔は分かりません。ブルカは砂塵を防ぐ役割がある他、イスラームの戒律に適っています。なお、ブルカはかつては王侯貴族の女性が着用していたのが、徐々に庶民の間にも広まったものなのだそうです。たしかに、あの恰好じゃあ農作業などはできないでしょうからね。

 なお、アフガニスタンにも遊牧を行っている民族が暮らしています。遊牧民の女性は、ケミスという上衣とトンボンもしくはパルトゥグという下衣を着用します。ケミスは胸に部族の伝統の刺繍が施されている他は、ゼロペロンと同じような衣服になります。パルトゥグは、膝から下が蛇腹式になっている細身のズボンです。

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