東アジア その㉔台湾・高山族の女性編

 今回は前回の続きで、女性の服飾について述べていきます。

 パイワン族の女性の服装には、伝統的なワンピースと腰巻を組み合わせたものと、近年になって流行してきたツーピースの、二つのスタイルがあるそうです。そのどちらの場合も、脚絆を巻くことは欠かせないのだとか。


具体例

ワンピース

・パイワン族ではロンパウ、ルカイ族ではキピンと称されるものと、南部のパイワン族でイトンと称されるものの二つがあります。ただし、そのどちらも筒袖形で、丈は膝下までという共通点があります。

・材質は、黒、白、藍色の綿布や黒い別珍べっちん(綿ビロード)や赤いウール地など。平面的な仕立てで、上半身はぴったりとしています。首回りには約2cmのスタンドカラーが付いていて、スカートの部分は脇で緩やかに広がっています。スカートの脇の部分にはスリットも入っているのですが、だからこそ平面的な構成でも動きやすくなっているのです。

腰巻

・パイワン族ではクン、ルカイ族ではコーヌと称されます。ギャザースカートのような形で、上に付いた紐を右側で結んで着用するそうです。ワンピースの裾から装飾紋様を見せるため、丈はワンピースよりも長くなっています。なお、腰巻の右脇は決して縫い合わせないのですが、これは右脇を縫い合わせると難産になると信じられているからなのだとか。

ツーピース

・若者の間で流行しているというスタイルで、パイワン族では上着をタラポもしくはカバ、ルカイ族ではイブクと称されます。下のスカートの呼称は腰巻と同じです。

・上下ともに主に黒い別珍で作られます。上着は2cmほどのスタンドカラーが付いていて、丈はウエストから10cmから15cm下までぐらいで、前身頃の中央で打ち合わせます。スカートはセミフレアタイプで、丈は裾が膝下に来るぐらいです。

脚絆

・パイワン族ではツァツァブ、ルカイ族ではパツァプと称されます。多くは幅33cm×丈28cmの黒い布で作られ、上に付けられった細い布で足に結びつけるそうです。


 以下では被り物や装身具について述べていきます。なお、以下の装飾品は男女共用です。


鷹の羽

・富貴と勇者の象徴とされていて、盛装の際には頭目は二本から四本、平民は一本頭に射すそうです。

たすき

・パイワン族ではパラバク、ルカイ族ではタララルと称され、肩から脇腹にかけて斜めにかけます。素材は赤や黒の別珍で、その地にイモガイや子安貝を一列に並べて飾ります。さらにその両脇に鎖の、またさらにその周辺を菱形や三角の文様のビーズ刺繍で装飾します。

とんぼ玉の首飾り

・とんぼ玉の首飾はパイワン族にとってはアクセサリーのメインで、二種類に分けられます。一つ目はパイワン族ではブツクル、ルカイ族ではビツウルと称される三連の首輪式のもの。二つ目は胸飾り式なのですが、パイワン族ではタレブツグ、ルカイ族ではサキルウルタヌと称される一連のものと、パイワン族ではタラクザヌ、ルカイ族ではパリブトと称される九連のものに分かれます。

・それぞれの首飾りには中心に価値が高いトンボ玉が配されています。他の玉もパイワン族の美意識に基づいて色、大きさ、形、文様を調和させつつシンメトリーになるよう廃されるそうです。


 以下は女性用の装飾品について述べていきます。

とんぼ玉の耳飾り

・パイワン族ではバツバツ、ルカイ族ではリデンと称される、娘たちの大切なアクセサリー。鎖や金属の飾りをとんぼ玉やビーズと併せて連ねていて、上には耳に掛けるための麻紐の輪が付けられています。この耳飾りは未婚の証で、結婚して初夜が終わると、以降女性はこの耳飾りを付けることはないそうです。

手袋と足袋

・手袋はパイワン族ではツァブ、ルカイ族ではラルポガヌと、足袋はどちらの部族でもトカプと称されます。手袋は材質が三枚綾(前回参照です)の白無地の苧麻布で、指先を出すタイプになります。足袋は変化畝織で、白無地の苧麻布製なのは手袋と同じです。

・布の織り方からも察せられますが、手袋と足袋は本来は頭目の家の女性の礼装用なのです。しかし平民でも富と人望があり、なおかつ頭目家から許可を貰った女性は、身に着けることができるのだとか。


 今回で東アジア編は終わりです。長かったですね!

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