東アジア その⑳アチャン族他

 今回は阿昌(アチャン)族についてからです。

 アチャン族は主に雲南省の徳宏タイ族チンポー族自治州で暮らしています。アチャン族は優れた鍛冶屋として知られているそうです。また、呼称は異なるものの、アチャン族はミャンマーにも居住しているのだとか。宗教は小乗仏教を信仰しているそうです。ついでに、アチャン族は起源が二千年前まで遡れるという、長い歴史を持つ民族でもあります。

 そんなアチャン族男性は、ネックラインなしの大襟の上衣+長ズボンというスタイルです。ズボンには幅広のベルトを締め、戸撒刀(阿昌刀とも)という、彼らの刀鍛冶としての名声を高めている刀を差します。頭には片端を垂らして長い布を巻き、花を飾るというおしゃれさです。

 アチャン族女性は長袖の上衣に、既婚なら筒型のロングスカート、未婚ならばズボンとなります。上衣は、対襟を鎖が付いた四つの銀のボタンで留めるのがアクセント。更に、長い布を頭に30~40㎝の高さに巻き上げ、そこに毛糸や銀の装飾品を飾ります。


 お次は怒(ヌー)族について。ヌー族の名称は、怒江(サルウィン川)の両岸に居住していることから来ているそうです。事実、ヌー族は主に怒江の源である雲南省で暮らしています。ヌー族はミャンマー最北端のカチン州にも居住しているのですが、そもそもヌー族は怒江だけでなくメコン川の岸でも古くから暮らしている民族なのだそうです。主な生業は農業で、宗教はチベット仏教とアニミズムを信奉しているのだとか。

 ヌー族男性の服装は対襟の丈が短い上衣+長ズボン、その上に麻布製の長い衫を羽織って幅広の帯を締める、となっております。前身頃でおはしょりを作っているのですが、できたスペースはポケット代わりとして活用しているそうです。便利でいいですね。

 ヌー族女性は、上衣には袖がゆったりした上衣と、その上に縁飾りが施された坎肩(ベスト)を着用します。下は襞が多いスカートを穿き、更に、腰から二枚の縞模様の麻布を付けます。なので傍目にはプリーツの入っていないロングスカートを穿いているように見えるのです。ヌー族女性の髪形は三つ編みなのですが、そのお下げで被っている頭巾を抑えます。そうして更に、頭部は色糸で、耳は銀や竹の耳飾りで飾るのです。


 最後は独龍(トーロン)族について。トーロン族は、人口七千半ばという、少数民族の中でも極めて少数派の民族ですが、大変古い歴史を持つ民族でもあります。トーロン族の大半は、雲南省は怒江リス族自治州貢山トーロン族ヌー族自治県の、怒江(サルウィン川)河口で狩猟と焼畑農業を行いつつ慎ましく暮らしているそうです。

 ヌー族は一部の例外を除けばアニミズムを信奉していて、「全ての生き物には魂が宿る」と信じています。また彼らの社会は徹底的な氏族社会であり、同じ氏族の者同士の婚姻が禁じられているそうです。

 トーロン族の人々は、男女ともに膝までの長さがある袍に坎肩、もしくは長い上衣に短いズボンといういで立ちです。更に、麻製で縞模様のトーロン織という独自の織物を、左の脇から右肩に(縞が垂直になるように)掛けて、紐もしくは竹針で留めます。このトーロン織は、夜には蒲団の代わりにもなります。かつてはおしゃれとして、また魔除けや集団の識別として、女性は顔に入れ墨を入れる風習があったそうですが、現在は行われていないそうです。

 

 

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