東アジア その⑲ナシ族他
今回は納西(ナシ)族についてからです。なお、今回は「絵師で彩る 世界の民族衣装図鑑」も参照にしました。
ナシ族は雲南省西北部(雲南省には玉竜ナシ族自治県という自治県もあります)から四川省西南部にかけての、山間低盆地に居住している民族です。主な生業は農業で、宗教はチベット仏教の影響を多分に受けているものの、基本的には自然崇拝なのだとか。
ナシ族とは文化や慣習において無視できない違いを有しつつ、公的にはナシ族に含められている少数民族に摩梭(モソ)という民族があります。モソ族の興味深いところは母権制社会で、男性は女性の家に通うというところですね。なんだかナシ族よりもモソ族に興味が湧いてきた……。
上記の事情でナシ族がモソ族と同じ服装をしているかは分からないのですが、以下でナシ族の服装の特徴を述べていきます。
ナシ族男性の服装は上は右衽で大襟の衫+帯、下は幅広のズボンと脛当てとなります。女性は薄い色の衫+赤か赤褐色の大襟の坎肩に肩掛け、下はズボンと襞のあるスカート+前掛けになります。
ナシ族女性の肩掛け「七星羊皮」はその名の通り羊の皮製。北斗七星を模した円盤状の装飾が施されていて、その中心から星の光を表すという白い紐「披星戴月」が垂れています。七星羊皮の上部の両端には紐が付けられてもいて、この紐を身体の前で結んで固定するのです。
この肩掛けは、背中を守るのにも保温にも役立ちますし、荷物運びにも利用できるという優れものです。ついでに、「披星戴月」とは中国語の成語で「朝早くから夜遅くまで懸命に働く」を意味しています。
お次はナシ族同様雲南州で暮らす、景頗族(チンポー)族について。
チンポー族はミャンマーのカチン州とシャン州に居住する、ミャンマーの有力な民族の一つカチン族の一支族なのだそうです。カチン族はアッサム州などインド北東部にも居住していて、そこではシンポー族と呼ばれているそうです。生業は主に稲作や焼畑農業で、宗教は祖先信仰とアニミズムなのだとか。ただし、ミャンマーのカチン族はイギリス領ビルマ時代にキリスト教の影響を受け、今では祖先信仰とアニミズムとキリスト教が併存しているのだそうです。
チンポー族の男性のスタイルは白い上衣+濃い色の長ズボンとなります。上衣は裾をズボンにインして、刺繍が施された帯を締めます。装飾には、赤の毛糸玉が多用されるそうです。
チンポー族女性はネックラインが丸く開いた黒い上衣に、赤い織物か花模様のウールの筒型のスカートを合わせ、脛当てを着用します。衣服の模様は菱形が好まれ、まった銀製品も好まれるのだとか。特に、肩から胸元にかけてを埋め尽くすように飾る、半球形の「銀泡」と呼ばれる飾りや短冊型の銀の飾りは目を引きます。この銀泡は一説によると、女性の先祖は龍であり、結婚すると身体の鱗が銀の泡に変わるという伝承に由来しているそうです。
今回の最後は布朗(プーラン)族について。
プーラン族もまた主に雲南省に居住していて、彼らの居住区は気候が温暖で降水量も多いそうです。
プーラン族男性はネックラインなしで対襟の短い上衣+幅広の長ズボン+頭に布を巻くというスタイルです。また、褂袍という肩掛けカバンを頻繁に使用するのだとか。
プーラン族女性の襟のデザインは、対襟だったり、着物で言うと左前のように合わせたりと幾つかパターンがあるようです。上衣の袖は細く、丈は腰にぴったり合うぐらい。下は筒型のスカートを二枚重ねています。内側に来るスカート(内裙という)は白く、外側のスカート(外裙)は横縞模様や刺繍を施した縁取りの布で飾られます。プーラン族女性は更に、銀の耳飾りや赤い毛糸で作った花も身に付けます。また頭に、銀や毛糸で装飾した布を円盤状に巻くそうです。
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