東アジア その⑱タイ族他

 今回は傣(タイ)族の服装についてからです。

 タイ族。シーサンパンナ・タイ族自治州と徳宏タイ族チンポー族自治州に居住し、水稲をメインにした農業を営んでいるという彼らが、微笑みの国タイと関係があることはおわかりですよね。広い意味での(中国の少数民族のタイ族に限らない)タイ族とは、タイ諸語を母語とする民族のことなので、タイ族≠タイ人なのですよ。

 タイ族は男女とも白を好むそうです。タイ族男性の基本の服装は、対襟か大襟でネックラインのない短い衫にズボン+頭に白い布を巻く、となります。更に、寒ければ毛織の肩掛けをするそうです。

 タイ族女性は丈が短く袖が細い衫に筒型のスカート・サロンとなります。衫はネックラインなし、立て衿で対襟、大襟の三つのタイプがあるようです。サロンの色は衫よりも濃く、孔雀や象の模様のタイ錦が使われるそうです。模様がタイっぽくて素敵ですよね。前述の服を着用し、更に金の装飾品を身に着け、歯を黒く染めるのがタイ族女性のスタイルです。


 お次は傈僳(リス)族について。

 リス族の居住地は中国、タイ、ミャンマー、インドの四国に跨っているのですが、中国だと雲南省の怒江リス族自治州を中心に暮らしているそうです。生業は移動式の焼畑農業なのだとか。漢族はリス族を民族衣装の特徴から、白リス、黒リス、花リスに分類しました。が、リス族自身はサルウィン川(チベットを源流とする国際河川)という、彼らの居住地を流れる川の上流に住んでいるか下流に住んでいるかで区別しているそうです。

 前述のようにリス族の服装には部族によって(特に色の)違いがあるのでしょうが、以下で一例として述べていきます。

 男性は生成り地に赤褐色もしくは青の細い横縞模様の長い衫、もしくは短い衫に膝丈のズボン+膝当てというスタイルのようです。女性は、上衣は右衽の短い衫に坎肩を重ねます。下はスカートかズボンを穿き、前掛けのような布で装飾するそうです。リス族女性の衣服は他にも、袖口や上衣の裾を別布で縁どったり刺繍をして飾ります。また、赤と白のビーズで作られた頭飾りと首飾りは、リス族女性の服装の特徴の一つでもあるそうです。


 お次は佤(ワ)族。

 ワ族は中国の雲南省南部から東南アジア(ミャンマー、ラオス)北部の山岳部に居住する民族で、近年まで首狩りの風習があったことでも知られています。ま、よくあることですね。ワ族は農業を生業として、首狩りも農耕儀礼の一つだったそうです。

 ワ族男性の上衣は大襟の長い衫、もしくは対襟の短い衫で、下衣はゆったりとしたズボンになります。更に、頭には布を巻きます。

 ワ族女性の上衣は左衽もしくはV字型に襟が開いていています。袖もなしか半袖で、腹部が見えるほど丈が短いと、露出度が高めです。これには、布はとても貴重なものなので大切に使う、というワ族の文化も関係しているかもしれません。ワ族女性の下衣は丈が短い横縞の巻きスカートで、色は黒か赤が多いそうです。ワ族女性の髪形は、伸ばしたままの髪を銀製の帯状の髪飾りで留めるという、ナチュラルなスタイルになります。


 今回の最後は拉祜(ラフ)族について。

 ラフ族は雲南省と東南アジア諸国で暮らしている少数民族で、農業を生業としているそうです。

 そんなラフ族男性の衣服は、ネックラインがない右衽の大襟の衫+幅広のズボン+頭に黒もしくは藍色の布を巻く、となります。ラフ族女性は、裾の両脇に深いスリットが入った長い衫とズボンというスタイルです。衫の袖や襟、前身頃、裾には横縞の縁取りを入れます。男性同様に頭に布を巻くこともあるようです。

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