東アジア その⑰ローバ族他

 今回は珞巴(ローバ)族についてからです。ローバ族は、中国では主にチベット自治区、あとインドにも居住している民族です。農業と狩猟で生計を立てているのだとか。宗教はボン教(主に、仏教伝来以前に起源があるチベットの民族宗教のことを指す)とシャーマニズムを信奉しつつ、少しチベット仏教の影響も受けたり、という感じのようです。

 そんなローバ族の服装は、男性は大きな袍+その上に貫頭衣型の坎肩+腰にはベルトと剣+帽子というスタイルになります。坎肩は皮か毛織物製で色は黒。熊皮の帽子の色も黒なので、統一感がありますね。更に、帽子は熊の毛が長く後ろに垂れるようになっているので、腰に帯びた長剣も相まって非常に雄々しいです。それでいて、ベルトには銀の飾りや貝が嵌めこまれているそうですから、こう……非常にいい感じですよね。

 ローバ族女性の服装は、対襟か大襟の短い衫+毛織物の坎肩+巻きスカートに加えて脚絆を巻く、となっています。彼女らの服飾において最も特筆すべきなのは、腰回りの装飾品で、その重さと種類は驚くほどなのだそうです。


 お次は白(ペー)族。

 ペー族は雲南省は大理ペー族自治州で暮らすチベット系の民族です。ペー族は十世紀からモンゴル帝国の侵攻を受け降伏した十三世紀までは大理国(その後は雲南王国→梁王国と呼ばれる)という独立国家を形成していました。モンゴルの侵攻後も大理国の旧主の一族は、婚姻などを通してモンゴル側に上手いこと取り入り、支配階級としての地位を保っていたようです。しかし十三世紀末、明の初代皇帝によって漢族の政権に吸収され、独立国家としての歴史は完全に終わってしまいました。

 ペー族は牧畜を長く行っていて、すると当然乳製品を多く作っているのですが、仲でも乳扇と呼ばれる伝統のチーズは特に有名なのだそうです。そんな彼らは白を尊い色としていて、彼らの中国語での民族名は、未婚の女性が付ける白い頭飾りに由来しています。

 ペー族男性は白い上衣に鹿皮の坎肩とズボンというスタイルです。坎肩は幅広の縁取りとボタンが装飾のアクセントになっています。ペー族女性は白い長袖の上衣の上に大襟で短めの坎肩を重ねます。下にははズボンを穿き、刺繍入りの前掛けをします。更に、頭は前述の羽飾りの他、毛糸玉や房飾りで飾るそうです。

 「絵師で彩る世界の民族衣装図鑑」という本によると、そもペー族の若い女性は白い羽飾りを付けるだけでなく、衣服の色も白を基調としているそうです。なんでも、白は純潔を、併せて使用される赤は吉祥を表しているのだとか。また、ペー族の若い女性はミューダと呼ばれる白い房が付いた帽子(帽箍と言う)を被るのですが、この房が長い場合は着用者が独身であることを表しています。このミューダに触れることは、ペー族にとってはプロポーズなのだそうです。もしも旅行で雲南省に行くことがあったら、長くて白い房にはうっかり触らないよう気を付けないといけませんね。


 今回の最後は哈尼(ハニ)族。ミャンマー、タイ、ラオス、ベトナムなど東南アジア諸国にも存在するのですが、中国のハニ族は主に雲南省で農業を行って暮らしています。

 ハニ族は男女ともに黒と紺を好んでいるそうで、服の色もこの二色が多くなります。ハニ族男性は対襟の上衣とズボン(いずれも色は黒か紺)といういで立ちで、頭には布を巻きます。ハニ族女性の上衣のスタイルは地域によって幅があるようですが、下は丈が短いズボンかスカートとなっているようです。

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