東アジア その⑨羌族他
今回も色んな民族の服飾について述べることにします。まずは羌(チャン)族について。
チャン族は主にアバ・チベット族チャン族自治州、北川チャン族自治県に居住している、長い歴史を持つ少数民族です。彼らの居住地はパンダや金絲猴の生息地でもあります。また、世界遺産に登録された九寨溝はアバ・チベット族チャン族自治州にあるなど、美しい自然に恵まれている地域です。
チャン族は牧畜と農耕を生業としている民族です。民族のトーテムは羊で、人面羊体の偶像を祀るのだとか。祭礼の際に司祭は頭に羊の角をつけ、首には羊の毛皮を巻いて羊の扮装をするそうです。
チャン族は石の形を巧みに利用して建てた家に住んでいるのですが、一番下は家畜を飼うため、上の階は穀物を貯蔵するために用いられます。人間はその真ん中に住んでいるそうです。チャン族の家の屋根は平らで、老人や子供の憩いの場であり、女性が刺繍をする場所でもあるのだとか。想像すると、微笑ましくて癒されますね。
上記から察せられるように、チャン族は刺繍を得意とする民族です。中でも特に挑花(クロスステッチ)が得意で、服飾の他室内の装飾品にもよく用いられるそうな。また、チャン族は染色では蝋の代わりに石膏を用いるのだとか。
チャン族は男女共に、長い麻の、大襟式で右衽(詳しくは満州族の回参照です)の衫に帯を締め、羊皮の
皮掛掛は晴れの日は毛を内側に、雨が降った時は毛を外側にして着用します。皮掛掛は毛の面を内側に皮の面を表にすると、肩と前身頃の縁や裾から毛がはみ出、縫い目は揃った模様になるのです。これは着用者がチャン族であるとの識別に役立ちます。毛織物のベストは皮掛掛より長めなのですが、防寒保温効果では皮掛掛の方が上なので、使い分けるのですね。
他、下衣がズボンであり、脛あてを付けることと、刺繍した長い布を頭に巻くのも男女共通です。慶事や祭礼の際、雲の図案が刺繍された尖った船の形の布靴――
チャン族の男性の服飾は、白や黒の麻の長い衫に帯+必ず上記の皮掛掛かベストとなります。更にズボンを穿いて脛あてをつけ、頭に布を巻くのです。頭の布は、正面を「人」の字に折重ねる巻き方もあるそうです。
チャン族の女性は白や藍色の麻布の、足首までの長さの、袍に似た形の衫を着用します。その上に帯を締め、男性同様ベストを羽織るのです。下衣は男性同様ズボンと脛あてです。
女性の衫の襟周りや袖口や帯には刺繍が施されます。更に、チャン族は梅の花を好むため、梅などの形の銀製品を襟元に縫い付けます。銀製の耳飾りや首飾りで身を飾ったりもします。
では次からは、チャン族ほどのスペースを割けないのですが、他の中国少数民族の服飾について幾つか。なお、中国の朝鮮族については、韓国の回参照とさせてください。
中国で最も人口が少ない民族・赫哲(ホジェン)族はツングース系の民族で、松花江、黒竜江などで漁業を営む他、春や秋は農業、冬は狩猟も行っています。それ故、衣服は自然と鹿などの動物の皮や毛皮を素材にしたものが多くなるのですが、ホジェン族は魚の皮をも使用しているのが特徴です。
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