東アジア その⑧チベット族
蔵(チベット)族の人々は主に、ユーラシア大陸の中央部に位置する世界最大級の高原であるチベット高原で暮らしています。国としては、ブータン、ネパール、インド、中国に居住しています。
観音菩薩はチベット族にとって非常に特別な存在で、チベット族の創造主であり守護者であると考えられています。「チベットを知るための50章」という本によると(今回はこの本も参考にしました)、チベット族の祖の父は観音菩薩によって菩薩戒を授けられた猿、母は羅刹女(仏教に登場する鬼神。非常に美しい容貌を持つとされる)なのだそうです。
また、チベット族にとって白は高貴な色であるとされているそうです(伝承に由来)。そのため、身分が高い女性は数本の白い真珠の飾りを髪と共に結い上げ、客人には歓迎の印として白い薄絹で作られたマフラーのような帯状の布(
チベット族の衣裳の代表は「チュパ」という上着です。チュパは日本の着物のように右前で
なおこの袖、巡礼などの際は片方を脱ぐとよく言われているそうなのですが、これは間違いなのだそうです。片袖を脱ぐのは単なる暑さ対策や労働のしやすさを考えてのこと。片袖を脱いだ状態で貴人の前や仏前に参るのは無礼な行為とされているのだとか。チベット族の人は、もしも片袖を脱いでいる時に突然貴人に出会ったら、脱いでいる方の袖を後ろから肩に掛けて敬意を表すそうです。
チュパは男女によって着方は異なりますが、形は同じです。しかし、女性特有のものに、袖なしのチュパである「プメー」があります。プメーは簡易型が開発されたことにより、1959年以降という比較的最近爆発的に、本来プメーを着る習慣がなかった地域まで広まったそうです。他、牧畜地帯ではこれまた男女同型の毛皮や手織りの羊毛製のゆったりとした長い蔵袍・
巴察は衿と袖口、裾に縁どりがあります。寒い時はフードのようになっている衿を頭から被り、暑い時は前述のように右袖を脱ぐそうです。また、巴察は袖が指先より30㎝ほど長いという特徴もあります。
チベット族男性の日常服は
下は、幅広のズボンと短い蔵靴(ブーツ)です。頭にはつばを巻き上げた帽子を被ります。また、上の方で巴察の袖の着方について述べましたが、両袖に手を通さず腰の前で交叉させて後ろに結ぶ、という方法もあるようです。ただ、踊る際は袖を下ろすそうです。
秋と冬は、プル(チベット産の羊毛の織物。縁飾りや男性の帯としても用いられる)や毛皮、革製の蔵袍を着用します。加えて、耳当てのある皮の帽子を被り、毛皮製の長いブーツを履くのです。
日常服である勒規に対して、礼服である
この蔵袍は錦織の布で作られ、襟と袖口、裾には数種類の毛皮で装飾します。後ろ身頃には尾をイメージした装飾も施します。これだけでも大変煌びやかですが、首は仏珠、耳は耳飾りで飾ります。
他、武士だけが着用する
チベット族の女性の服装は、基本的には絹製の長袖の衫+スカート(地域によってギャザースカートだったりタイトスカートだったり色々。スカートの下にズボンを穿くことも)となっていますが、寒い時期は上から巴察を着用します。暑い時期は衫の上に袖なしの蔵袍を着用します。なお、普段着の衫の袖の長さは手首が隠れる程度ですが、晴着の袖は1mもあります。これは水袖 《スウエショウ》と呼ばれ、舞踊の際は小道具にもなります。
腰には、赤と紺の横縞を基本にその他の色を加えた、チベット族独特の縞模様の巻きスカートのような前掛け・
髪形や髪飾りは多様で、数本の三つ編みにしたり、髪を頭に巻いて色とりどりの紐を編みこんだりします。頭に布を撒いたり帽子を被ることもあります。
チベット族の女性には、
他には、長めに垂れる耳飾りや宝石の指輪に、これまた尾をイメージした、刺繍や宝石で飾られた
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