東アジア その③韓国

 今回は韓国の民族衣装についてです。チマチョゴリふわっとしてて綺麗ですよね~。

 男女共通の要素として、韓国の民族衣装は二部式で、色は「白衣民族」と呼ばれていたほど白が好まれていたそうです。白が好まれていたのは、純潔を表すとか、儒教精神を表すとか、自然や宇宙を表すと思われていたという説があるのだとか。

 それにそもそも、朝鮮王朝時代は庶民の服に紋様や染色を施すこと、絹製の服の着用も許されていなかったのです。なので白衣が都合がいいというか、白衣にしかなりようがなかったのですね。もっとも、歴史上逆に「白衣禁止令」なるものが出されたことも何回かあったそうですが。

 染色OKの場合は、乾燥した韓国の風土では透明度の高い原色が映えるので、よく使われるそうです。もっとも、李氏朝鮮の時代は、色に関する禁制が多いせいか織染の技術があまり発達しなかったそうですが。加えて、絹織物も質が低いものしかできなかったため、高級な織物は中国からの輸入品だったとか。ただし、伝統的な細麻布と布は中国に輸出されていたし、高麗末は綿花が基幹産業となったこともあったそうです。


 なお、韓国は歴史的に衣服の制度においても、中国の影響を受けていました。それを厳格に守る(必要があった)のは一握りのお偉いさんのみで、庶民は韓民族の服を着用していたのですが。それから更に、ある時はモンゴルの影響を受けたり色々あったのですが、1899年には外交官の服装を西洋風にしたそうです。そうして時の流れとともに、日本同様日常生活では洋服を着用するのが当たり前になっていったのですね。


 以下で、まずは男性の服飾について述べていきますね。

 韓民族の男性の服装は、じゅ、裳とくんほうを中心に冠帽かんぼうや帯、靴または履もしくは履(装束の履物を指す際の靴のこと)が添えられた、北方胡服系の衣服が基本になっているそうです。

 襦・上衣チョゴリは上半身の衣服で、袴 《バジ》は下半身の衣服です。これらに加えて頭には冠帽を被り、腰に帯を締め、靴もしくは履を履き、これらの上に外套トゥルマギを着用します。なお、このトゥルマギは袍に属していて、防寒具であると同時に和服の羽織のように礼装の意味があり、男女ともに外出時に着用するのだとか。


具体例

上衣

マコチャ(麻古子まこし):元々は満州族の防寒具の一種で、チョゴリの上に着用した。

赤衫チョクサム:庶民の夏用の簡易服。

吐手トシ:掌や腕にはめるもの。冬用は防寒として裏に毛皮をつけ、夏用は籐や竹で編み、袖口の通風をよくするため腕にはめた。


下衣

バチ:裾の大きく開いた袴で、足首は紐(タニム)で締める。

袴衣コイ:チョクサムとと共に庶民の夏用の衣服で、褌とほぼ同じようなもの。

行纏ヘンチョン:筒状の脚絆。


腰飾

ホリテイ:襦、袍などに締めたもの。布製、皮革製、角製、金玉製及びこれらの混合製があった。

チュモニ:袋や巾着、ポケットのこと。韓民族の服にはポケットのような物を入れるところが無いので、チュモニをポシェットのように腰帯に吊るした。


履飾

ボソン:年配者が必ず履いたもの。

シン(靴):防浸や防寒に適した靴。伝統的な材質は革や布、糸、草、金属など。1920年以降は、ゴム製の「コムシン」も登場した。


 お次は女性の服飾について。

 韓国の女性の民族衣装といえばチマチョゴリですが、チョゴリは上記のように上衣、チマはスカート(裳)のことです。このチマチョゴリは上下で違う色を用い、色の鮮やかな対比を見せます。チョゴリはチマよりも明るい色が好まれたそうです。他に、夏ならば涼しげな色使いや材質にするなどの心使いをしていたとか。更に、襟や脇布、袖口布や胸紐に別の布を用いてアクセントにするのです。

 が、上記の禁制を除けば=地位有る女性ならどんな色でも使用自由という訳ではありませんでした。父母や夫を亡くしたら海老茶色の布が使えず、また男の子を生んでいない女性は青の袖口布を付けられなかったそうです。もっとも、現代では流石に事情は違うでしょうけれどね。民族衣装ではデザインや色によって既婚/未婚を判別できるようになっているのは珍しくないのですが(着物もそうですよね)、現代でも男の子を生んでない女は~とかされていると色々と辛いですし。

 配色についても、本に具体例として載せられていたチマチョゴリの写真五つのうち、三つはチョゴリの方が暗い色でしたし、残りの一つは上下同じ色でした。伝統って変化していくものでもありますからね。


具体例

上衣

チョゴリ:前開きで丈が短く、前身頃にはコルムという結び紐が浮き、衿にそって白い掛衿トンチョンが付いている。身頃の丈や袖丈、袖付け(袖と身頃を縫いつけること。及びその部分)、袖下、袖口などは流行によって寸法が変わる。

トンジョン:チマチョゴリやトゥルマギの替え衿のこと。窓戸紙チャンホジ(障子紙)で芯を作った、幅1cmほどの白い布製で、衿に沿って被せる。恐らくですが、着物の半襟のような役割を果たすのでしょう。


下衣

チマ:スカートのこと。一般的に丈が長く、幅が広く、ゆったりとしている。立膝やあぐらの座り方もできるなど、オンドルを使う生活に適したデザインである。また、ふんわりとしたチマと前述の掛衿トンチョンの、曲線と直線の組み合わせは美しい。


靴類

シン(靴)シンは、宮中では宮鞋、唐鞋、雲鞋があり、庶民は草鞋チㇷ゚シン麻履ミテゥリを履いた。雨の日は木鞋ナマクシンを履いた。


装身具

・女性ももちろん、バッグ代わりにチュモニを用いた。他、香嚢こうのう(匂い袋)、針袋、銀粧刀(貞操を守るための短刀で、十六になると親から渡された)がある。正装の際は、ノリゲ(宝玉などの飾りに結びや房を付けたもの。生命の不滅や子孫繁栄の意が込められている)を胸元に飾った。


礼服:上流階級の礼装として、王妃の翟衣や華衣、円衫、唐衣、大欄チマなどがあった。


日常服:基本はチョゴリ、チマ、足袋ボソン、シン(靴)。加えて襯衣シャツに属する内赤衫 《ソクチョクサム》、単襯衣タンソクコッバジなどがあった。襯衣類は、女性の身体の曲線を他人に見せてはならないとする、儒教思想の現れであった。

 外上衣には褙子はいし(半臂のようなもの)、カッチョゴリ/マゴジャ(防寒用に裏側にウサギの毛を付けた、丈の短い羽織)などがあった。更に内裳ソクチマやトゥルマギ、マコチャも用いた。


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