東アジア その②沖縄

 今回は沖縄の民族衣装「琉装」についてです。琉装は髪形、衣服、着想を含む独特の服飾のことを言います。もちろん他の民族衣装と同様に性別や身分によって違いがありますが、以下に共通の特徴を書きますと……。


・袖は筒状の広袖

・衿は縫い留めず、広衿仕立て表側へ折り曲げて整える

・丈は対丈ついたけ(身長と同じ長さの布で着物を仕立てること)で、衿下(前身頃、衿先から裾までの長さのこと)は30㎝ほど。

・和服とは異なり帯を使用する必要はないが、使う場合は前で結ぶ


 などなど。では以下で男性用と女性用の特徴について述べていきます。


男性用

 成人男性は、全て欹髻かたかしら(頭頂部で結ぶ総髪のこと)で、士族の場合は約10cmの笄先に花型をあしらったジーファーを挿しハチマチを戴きます。この簪と冠(もちろん、西洋のクラウンやティアラではなく、おじゃる〇が被っているようなタイプの冠です)は、位階によって材質や色が異なります。

 簪の場合は全て金製>花型金、それ以外の部分銀製>銀製>銅製というようにランク付けされています。冠は、赤地金入五色浮織冠>赤地五色浮織冠、黄地五色浮織冠>紫地五色浮織冠、青地五色浮織冠、紫地浮織冠>紫冠>黄冠>青冠、緑冠となっていたそうです。形は四角の箱のような感じです。平民、つまり無位無官の者の場合はもちろん簪も冠も使いません。

 男性の盛装は、内衣は二部式(上下が分かれたセパレートタイプの着物のこと)で、上衣の胴衣どうぢんと下衣の袴・褌は七分丈。長着(足首が隠れる長さの着物のこと)に、幅15㎝~18㎝、長さ450㎝~500㎝の芯入りの帯を胸の前で結びます。


女性用

 成人女性は琉球髷(からじ)を結い、約20㎝のスプーン状の頭部と六角形の胴体からなる簪を後ろから前に髷に挿して固定します。未成年の場合は唐輪髷のような髪形をしていたそうです。この髪形には簪は用いません。

 女性の盛装は上下二部式の胴衣と下裙かかむの内衣。略式では広袖で対丈の長着に、約10㎝幅の細帯やしごき帯を胸の前で結びます。そして、内衣の袖よりやや長めの広袖の長着の衣を羽織ります。衣料は男性の(おそらく、未婚の女性なら父親、既婚の女性なら夫)の身分に応じたそうです。また、普段着は地方によって様々な特色がありました。


 沖縄といえば美しい布でも有名ですね。という訳で、沖縄の布についても述べていきます。

 織物は平織と紋織(紋様を織りだしたもの)に分かれ、紋織は中国や南方から伝わったそうです。首里で織られている花蔵織(花織と絽織・紗織を組み合わせ透け感を持たせた高度な織物)、絽織(経糸と緯糸を絡ませて透き目を作るように織る、透ける生地)、平織(経糸と緯糸を交互に交差させて織る、丈夫で簡単な織物)から生じた花織(沖縄特有の浮織)、両緞ろうとん織(裏表共に経糸が浮く織り物)などは中国系。浮織(緯糸に経糸が絡まないので横糸が浮き出し、文様の部分の糸を浮かせた織物)や縫取織(絢織物の一種。浮織の技法に刺繍を加えた豪華版)は南方系だそうです。地方によって独特の、これらが発展した織物もあります。紬や絣もあります。

 色鮮やかで綺麗な紅型は唯一の伝統的な染織で、模様を描く技法は型付け(型染)と蝋引き(筒掻き)に分かれます。型付けとは型紙と防染剤を用いて布に模様を染める方法で、蝋引きは布に溶かした蝋を塗り、その部分が染まらないようにして模様を描く方法のことです。染め方は、顔料や植物染料を持ちいて手染めする方法と、琉球藍の浸し染めの藍型えーがたがあります。


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