イスラーム その①
はい、お次はイスラームです。
イスラームはユダヤ教・キリスト教と同じアブラハムの宗教で、これらの宗教と同様、基本的には女性はガッチリガードされています。守るべき財産として。
イスラームの伝統では、妻の名誉は夫の管理に委ねられていて、夫がその義務を怠ったのなら妻が不貞を働いても過ちを犯したことにはならなかった。妻を夫に服従させるような法的な規定もなく、ただ部族内ではそれが普通で、女として尊敬される生き方だったのだそうです。イスラームは、キリスト教よりもずっと性に対して肯定的で、性行為を誰もが味わうこの世の無上の喜びの一つとして、配偶者と行う性行為は宗教的な善行であると見なしているそうです。
ところで、他部族の男が既婚女性を誘惑しても、その男は不法行為や恥ずべき行為を犯したことにはならなくて、イスラームの詩人たちは盗み取りした恋を自慢していたそうです。
が、こういった間男は寝取られ夫やその血縁者たちの復讐の的になるし(※)、浮気は離婚の恰好の口実になるので、事の次第を知れば妻側の血縁者も激おこぷんぷん丸になっちゃいます。なんせ、イスラーム社会では妻の落ち度の有無や夫の意思(たとえ他人に強制されてのことだとしても)、冗談か本気か、夫の身分を問わず、男側からの離婚が成立するには、夫が正気だと認められる状態の時に三度離婚を宣言するだけでよいのです。もしくは、妻を四ヶ月以上拒みさえすれば。
でも女性の側から離婚する条件は限られていて、普通は結婚の契約を結ぶ前に両者で合意していなければいけません。なお、急に離婚されても妻の方で結婚前にもしもそうなった場合に関しての契約書を作っていれば、多少の保護は受けられます。契約って、ほんと大事ですね!
※ちなみに、
このように、イスラーム社会ではキリスト教社会と比べたら遙かに簡単かつ自由に離婚できます。で、シーア派では
ところで本では、カリフ(トルコ国王)オマール(在位634-644年)ってなってたんですけど、前のホセア王は百歩譲って許せるとして、これは許せませんわ。スルタン=カリフ制と混同してたのかどうかは知りませんけど、カリフは預言者ムハンマドの代理人というのは常識の範囲内のことだろ……。なんだよトルコ国王って……。七世紀頃のアナトリア半島を支配していたのはビザンツ帝国だろ……。テュルク系民族がイスラーム化されたのは、十世紀から十一世紀頃だし……。七世紀頃の突厥(トルコは突厥の成立をもってトルコが建国されたとしている)の宗教って、シャーマニズムか仏教じゃない? 唐から儒教や道教が伝わってたかもしれないけれど、少なくともムハンマドの没後二年~十二年しか経っていない時点では、テュルク系民族にはイスラームの教えは伝わってすらいないだろ……。しかも現代トルコ語ではウマルの発音はオメルとなるそうだし……。何もかもが間違ってて、何もかもに腹が立つ……。著者も訳者も、歴史の授業受けてなかったのか……?
……話は逸れましたが、ムトア婚の契約期間は一日から一年、あるいはもっと長期で結ばれる場合もありと、幅広いです。ただし、一晩に満たない契約は売春と同じ、と嫌がられるのだとか。
ムトア婚を行う男性は、長期間、家や家族から離れて生活しなければならない男性で、金額の方は事前に交渉で決められていました。ムトア婚の期間中は、男性は女性を扶養する義務があるし、期間中に子供ができればその子は嫡出子として認められ、父の遺産を相続する権利も認められます。ただし女性の方は契約が満期終了したらあらかじめ定めていた以上の金や贈り物を要求することはできなかったのですけれどね。
なお、ムトア婚の期間終了後、女性は四十日の清めをしなければ、次の契約をすることができなかったそうです。妊娠しているかどうかはっきりするまで待てということでしょうね。
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