古代オリエント その⑤
今回からはオリエントはオリエントでも、古代エジプトのターンに入るのでよろしくお願いします。ちなみに私は今、エジプト神話BLにハマっていますので、気になる方は「エジプト神話BL」でググってみてください。十中八九、最初にヒットするのが私がハマっている漫画です。ちょー萌えます。
さて。ファラオならばいざ知らず、古代エジプトの一般庶民の間は一夫一妻制で、女は十二、三、男は十五、六で結婚していたそうです。ただし、上流階級の男は二十歳になるまでは結婚しなかったとか。でも、男が結婚するまで純潔を守ることを尊ぶような風潮は全然なかったし、奴隷娼婦はいつでもどこでもいたので、男は欲求を感じたら普通にその欲求を発散させていたようです。
古代エジプトでは女の召使は主人のものであり、男が召使と関係を持っても姦通したことにはならなかったそうです。これ、女が男の召使と関係持ったらお決まりのパターンで姦通したことになるんでしょうね。なお、女が姦通すると最悪の場合離婚されるどころか、火炙りにされることもあったそうです。でも、男は慰謝料さえ払えば、色んな理由で妻に離婚を言い渡すことができた。人類史に多く見られる不平等が、ここでも観察できましたね。
ちなみに、夫婦に子供が出来なかったら一緒に若い女奴隷を買って、その奴隷と夫の間の子ができたら、夫が死亡した時に奴隷身分から解放するという条件で、その子を嫡出子として認知していたそうです。他、古代エジプトの法律では内縁の妻がいる独身の男と既婚者を区別していたそうなので、古代エジプトでも嫡出と非嫡出の子の間には法的な扱いにおいて何らかの差異があったのかもと考える次第。
これは売春とはあまり関係がない話題ですが、エジプト第十一王朝の時代までには、国王の処女の娘を一人、アメン神の妻として捧げるように掟で決められていたそうです。この聖なる妻は美しさとシストラムという古代エジプトの楽器で奏でる音楽で神を魅了すると考えられていたのだとか。そこはかとなくエロスの香りが漂う信仰ですね。で、この神とのみ結ばれる聖なる妻は神像の膝の上に腰かけ、アメン神を眠りから覚ますために神像の首に腕を回したりしていたそうです。
他、アメン神の妻の宮廷には、捧げられた王女と同じ処女の女性からなるアメン神のハーレムがあったそうです。当然子供が出来るはずはないので、アメン神のハーレムの女性は、跡継ぎには養子を迎えていたそうな。なんだろう。神に捧げられた乙女たちのハーレムって、凄くみだらですよね。捧げられた本人たちにとっては、たまったものじゃなかった。もしくは生身の男の相手にしなくてもいいので、逆にせいせいしていたかのどちらかだろうけれど。
アメン神の妻たる王女(ところで古代エジプトではファラオはアメン神の子として敬われていたので、ということはこの婚姻は論理的には……まあいいか)の家には特別に召使と領地が与えられ、ファラオのあらゆる象徴記号があしらわれていたけれど、政治的な力は持っていなかったそうです。
エジプトにおける女性の基本的な性的役割というのはメソポタミア同様、妻や母もしくは処女の巫女などの「良い女性」と、エロティックな売春婦や情婦――つまり「悪い女」の二つに分けられていたそうです。で、男達は妻以外の女には近づかないよう戒められていたけれど、いつの世の中にも危険な、だがそれ故に一層魅力的な女に捕まって破滅させられた男というのは一定数存在したのですね。
最後に、話の本筋には全く関係ないけれど腐女子的に極めて興味深い考えを一つ。古代エジプトでは、男性の要素こそ生殖の鍵であり、女性は男性の種を育む器に過ぎないと考えられていたそうです。男性の要素こそ重要なのであれば、育む器が女でなくとも子供ができるのではないか――と、古代エジプト人が考えていたかどうかは分かりませんが、エジプト神話にも男神、それも戦争の神が妊娠出産する話があります。種は経口摂取だし、産んだのは額からですが。
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