萱草
皆さま、
萱草とは広義にはワスレグサ属(ワスレグサ属がどの科に分類されるかは、色々と変転がある)の花のことを指していて、中国では華中以南の各地に自生していたり、民家で栽培されたりしています。主な品種は
萱草 Hemerocallis fulva var. fulva(和名:ホンカンゾウ)
・草丈は1mほど。早朝に開花し夕方に散る。花の色はオレンジ。
・草丈は1mほど。花期は萱草よりも一月ほど遅く、午後に開花し翌朝に散る。萱草よりも香り高い。観賞用の他、根茎は有毒だが花蕾や茎の部分は食用にもされる。花の色は淡い黄色。
があります。が、どちらも英語ではデイ・リリーと呼ばれているそうです。
ところで萱草は古代の中国では
萱草の忘憂という働きには幾つかの逸話があって、中には唐の太宗・李世民とその母・
隋末唐初は群雄割拠の大変な時代! という訳で、まだ皇帝になる前の李世民(ちなみに、李世民は最初から父の後継者とされていたわけでなく、李世民の兄が皇太子だったが、李世民は「玄武門の変」で兄と弟を殺害して父の後継者となった)は、唐朝に従わない他の政権を討伐する日々を送っていた。
竇夫人はそんな次男が心配で夜も眠れず、李世民のことを想っては溜息をつくばかり。そこで彼女の夫・李淵は妻の心痛を和らげようと、臣下に進められて黄花菜を調理させ夫人に摂取させたが、残念ながら竇夫人は忘憂の効果が現れる前に亡くなってしまった。都へ凱旋した後このことを知った李世民は悲しみ、母が住まっていた
という感じの。ただ、史実では竇夫人は唐朝が建つ以前に亡くなっているので、あくまで伝説の類でしょう。ただ、隋末の動乱期に、煬帝の親戚である(煬帝の母と李淵の母が姉妹)李世民が従軍したことはあったので、戦に行った息子を案じる竇夫人に黄花菜が与えられたという出来事は、あってもおかしくありません。それで、唐朝成立から幾らか経って世の中がだいたい平和になった頃、李世民が亡き母を偲んで宮殿の一画に黄花菜を植えさせたこともあったかもしれません。そうして、このような伝説が生まれたのかも。
この李世民と母・竇夫人の伝説の他にも、萱草には「母の子への愛情」を連想させるエピソードがあり、このことから萱草は「慈母」の象徴となりました。現代の中国でも、母親節(母の日)のプレゼントとして、萱草の花束が贈られたりしているそうです。
ちなみに、萱草や黄花菜の忘憂の働きには科学的な根拠があります。実は、漢方ではのぼせや不眠、うつ病に対する効果があるとされている黄花菜(と萱草)には、
上記のように黄花菜には毒が含まれておりますが、毒性が低い花蕾や茎の部分を高温で調理すれば安全に食べられ、またたんぱく質やビタミン、鉄分が豊富な美味しい食材ということなので、一度チャレンジしてみたいものですよね。
最後に、萱草には上記の忘憂に関する異名の他、
萱草には不眠やうつ病の他、利尿作用や母乳の出を良くしたり、月経不順に効果があるとされています。このことから、安産に効果がある→男児誕生という連想という連想が働いたのでしょう。
他、萱草は中国南方の荊楚地方などでは、
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